世田谷物語4-2
もう…とてもそうは見えなくなって来た家族モノです…(ーー;
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暗鬱な空気の中。元気良く鳴り響く家のベルに竹巳が戸を開けた瞬間。

「お宅の奥さん、どこ運ばれたん?」

夕方、シチューの鍋を持って来た藤村さん家のノリックさんが開口一番に訪ねたセリフ。


「今日近く通ったから、見舞い寄ってこ思うたら、あそこの病院ちがったんや、」

言いながら「ほなコレおすそ分けv」と差し出されたホウロウの白い鍋を、

困った笑みを浮かべながら「どうも、」と受け取って…

「…どないしたん?」

と曇った竹巳の顔に眉を潜めるノリックに、何をどう話そうか…少し迷う。


普通に考えればただの入れ違いにしか思えない竜也の話。

なのに、誰が何を口にした訳でも無いのに

あそこに居た全員が感じた腹にずんっと溜まるような意味不明のこの嫌な焦りは、一体なんなのか…

「運んでくれた消防とか、今父が色々当たってるんで、」

「…そか、大変やったな。けど、お母はん目覚めてよかったやないか、」

「…はい。」

「病院、判ったら教えてな、」

じゃ、ほなまたな〜…。と心配しながらも、竜也の朗報を聞いて…朗報。

病院から「気が付いたから来てくれ」と電話が有ったのは確かなんだから。

そう思うのは普通だ。

まだ事件にもなってない、ただ会えなかっただけの事を

そう気には止めない。

そう、それが普通なんだから

こんな事で、騒ぐのはオーバーだよね…そう思おうとしても…、

身に起こって始めて、この目で確かめる事が出来なくては、世の中何の保証も無いのだと始めて知った。


ただの間違え?
それとも何らかの事情で、少し遠くの病院へ搬送されたんだろうか。

疑う訳じゃ無いけど、本当に、電話はあったんだろうか…

生きて…いるんだろうか。


考え出せばきりがない。



帰って来た克朗達の話を聞いても、亮は「へぇ〜やべーじゃん」

と言ったきり、居間でTVを見て居た。

何を考えているのか、でもその姿を見ていると、やっぱり自分は大袈裟に思い込み過ぎなんだと

思えもしなく無い。

よく周りを見渡せば、誠二も父克朗も電話帳を広げながら冷静に検討している。

やっぱり…溜め息と共に玄関の戸を閉めた。


「でも何で、お義母さん心療内科なんだろ?」

ふと呟いた声に、電話の前に居た二人が揃って竹巳の顔を見る。

「さあ…」

「う〜ん…ストレスでなるからな、胃潰瘍は」

と少し考えてから克朗が答えていた。




「見つからなかった?」

朝、起きて来た誠二に「何か昨日ダメでさ〜一応ぽいのはあったんだけど、今日も一度調べるから」

と聞かされて、どきりとする。

だが涼しい顔で居間へと向かう誠二に、怪訝になりながら引き止めようとした時、

再び朝の廊下に響くチャイム。



「お母さん、大変だったね。」

こちらもやっぱり病院には縁が有る若菜さん家の英士さんが、

実家から送って来たと言う、折り菓子を持って立って居た。

英士さんはハス向かいの家の奥さん。

サッカー選手の御主人は何故か良く交通事故で入院している。

「いえ…どうも、」

もう、説明するのも疲れながら、独り苦笑いを浮かべた竹巳に…

「病院も遠いいし…色々大変でしょうけど…」と

「病院?」

「ええ、…ああ、昨日そこで末のお子さんに会ったんで」

「将に!?」

「そうだけど…?」

と驚いたまま自分の顔を見る竹巳に、やや眉を上げながら「どうかしたの?」と。

「…あ、あのすいません、何所なんです!?その病院っ」

声を荒げた竹巳に、今階段から降りて来た克朗も止まって居た。













「往診です。」

ドアが開くと同時に突然響いたたるそうな声。

そう言って入って来たのは昨日の医者。

つかつかと歩み寄って来る白衣の彼に、

ベットの上で備え付けてあった小説をめくって居た竜也が顔を上げた。

「御気分はいかがですか?」

「ええ…まあ、」

…自分は、本当は何故ここにいるのだろう…

未だ聞かされない入院理由。

否、何度か聞いたのかも知れないと…時々思い出しながら、医者の顔を見る度に同じ質問を繰り返してる自分がいるようで、ならなかった。

「あの、」

「何か?」

「家に連絡したいんですが、」

「ああ、さっき看護婦が済ませましたから。出たのはお子さんだったそうです。」

「…そうですか、どうも。」

言いながら時計を見れば針は3時。いつもだったらまだ全員学校だ。

誰かが風邪で休んだのだろうか、それとたまたま偶然だったのか…

考えながらやっぱり、ベット脇の椅子では無く自分の横へと腰掛ける医者を見上げれば、

真面目な顔が、自分を上から覗き込んで居た。

親指が目蓋の上をなぞって…それから頬を伝って行く。頬に添えられた手の平も。冷たい指。

そして自分を真直ぐに見据える彼の視線。

「あの先生?」

「まだ何か?」


そのまま竜也が二言目を言う前に、ふっと鼻先に触れた彼の髪の匂い。

何が起こったのか、竜也が辿る前に重なった唇が深くなっていった。





頭の上で微かに聞こえるのは、自分の吐息の音。

「っん…・・」

流れて行く汗を伝う様に鎖骨を伝う汗に彼の舌を感じて仰け反れば、

背中に回った腕にぐっと引き寄せられて、胸の突起をかりっと噛まれる。

「いっ…・セ・…ンセ・・…」

幾度こうして繋がったのか、

もう既に覚えては居なかった。

はだけられたパジャマの間から見える自分の腹の上は

色んな液で濡れて光って居た。

「…っ・・っぅ…」

その視線を追う様に医者の腕が伸びて竜也の股の間へと差し入れられて行く。

「痛い所があったら教えて下さい?」

軽い嘲笑の交じった声。

そして、さっきから限界を訴えて濡れる竜也をぐっと掴むと、ゆっくりと下がって行く。

「あ・っぁあ…あ・・たっ…・」

「もう少し待って下さい。悪いもの…全部溜めてから出しますから。」

「…・っぃ・…も・・あぁああ…・」

もう無理と訴えて、何度も竜也の身体がベットの上で魚の様に仰け反っても、

まだ、許されない。

根元を血圧用のゴムパッキンできつく止めてから、

その奥へと指を這わして、そして既にすっかり解されたそこに二本一緒にぐぷりと差し込めば。

音と一緒に、ついさっき自分の放った粘液が溢れて来る。


息を飲む竜也。

だが、否定の言葉は出ない。

「往診ですから…身体…見してもらいますね。」

ただそう言った医者の詰問に、途切れる息の下で答えていた。


「渋沢さん、もう少し力緩めて頂けます?」

言いながら、自分の指に吸い付いて来る滑らかな内壁に苦笑するが、

竜也は黙って首を横に振る。

「じゃあちょっと、構えてて下さいね。」タツヤの片足を上げながら、止めていたゴムを外して行く。

聞こえる声に視線を向ければ、ベットの横の椅子に腰かけた彼の顔。

涙で視界がぼやけていたが、その顔を見ながら、彼が満足そうに笑ったのが判った。

途端…ぐっと中で曲げられた2つの指。

無理矢理内壁を押し退けて指の腹で、ある一点を強く疲れた瞬間。


指一本触れられても居ないのに。ドクんっと脈打った竜也の躯。

とっさに、先端を掴み掛かった医者の手が、液が飛び散るのを押さえて居た。

はあはあと赤い顔で息を付く竜也を見ながら、傍にあったタオルで手を拭いて、同じタオルで彼の身体を軽く拭う。

それから無言で服を整え出す竜也に、

「お疲れさまです。」

と一言言うと、振り向いた顔にクスっと黒い笑みを漏らして、

その額に一つ触れて行った。


「ああ、そう言えばロビーに面会が来ているそうですよ。」

白衣のポケットに手を入れて振り返った彼を見て、一瞬ボタンをとめる竜也の手が止まる…が、

「そうですか…」

とだけ言って視線をそらしていた。









暫くして

「お母さん!」

と駆け込んで来た、懐かしい顔に自然と破顔する。

懐かしい顔。もう随分長い事会って無い気がした。

『環境が変わったからな…』

「ああ、将。」

「よかった…大丈夫?」

自分のベットの傍へ駆け寄って来ると、さっきまであの医者が駆けていた椅子へと腰かけて

内心それにどきりとしながら、

彼とは違う顔に、目線の位置にほっとする。

自分は一体何の罪悪感に捕われているのか…それさえ判らなかったけど。

だってあれは…

「皆は?…まだ来て無い?」

「?…ああ、うん、将が一番最初だけど」

「そっか…」

「誠二君から電話が有って…」

そうかじゃあ出たのは誠二だったのか…と。

「でも病院の名前間違えてたから、来るの遅くなっちゃって…」

え?

「間違えてた。」

「うん、混ざってた。」

森病院の心療内科っていうから…


そしてここは新涼病院だった・・・・。






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あはは…捨て身のネタを・・やっちまったさ(号泣





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