世田谷物語2-4
エロは渋水でし。
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「お帰りなさい。」

その声は震えたかも知れない。

ゆっくりと竜也の肩を引いて身体を離した亮も呆然としたままの克朗から視線をそらす。

張り詰めた空気の中沈黙を破ったのは克朗。

「…どうした?何かあったのか?」

一瞬驚いた顔をすぐに戻して、心配そうにこちらへと歩み寄った。

「竜也?」

「いえ…」

近付いて、その肩に手を置くと、攻める訳でも無くゆっくりと自分の方に向かせる。

困った顔で言い淀む竜也に気付いて亮に「どうしたんだ?」と視線で問いかけて来るが。

「…後で話、あるんです。」

「大丈夫、何でも有りませんから。」

蒼白になりながらそう口を開いた竜也に視線を戻すと、怪訝な顔で竜也を見つめながら、その頬にそっと触れる。

「そうか?」
「・・・顔色良く無いぞ。」

「大丈夫、」

心配そうに自分を見つめて来るその顔にふっと笑った竜也が、

「夕飯終わったらちゃんと話しますから。」と。

暫くその顔を無言で見ていた克朗だったが、やがてちょっと寂しそうに微笑してから

「分かった。」と言って竜也の肩を抱いた。

それからちらっと亮の方を振り返ると苦く笑んで見せてから何事も無かったかの様に離れて行った。


それを一歩も動けないまま、肌寒い思いで見送る亮。






「片付けたら行きますから…」

と克朗を先に2階へと促して、少し間を置いてから自分もその後を追う。

寝室の戸を開けると

「!?」

真っ暗…。

いや、窓際から差し込む街灯の光を浴びて、手元のランプだけで本を読みふける克朗の姿が有った。

「…克朗さん?」

「ああ、竜也か。」

戸を閉め、枕元の照明に切り替えると竜也が静かにベットに座ったのを見て、克朗もその隣にゆっくりと座り直した。

冷めたコーヒーがサイドテーブルに置かれる。

「その」

「ああ。」

「最近。」

「やっぱり具合悪いのと、何か関係有るのか?」

「ええ、まあ。」

「竜也…」

「この前病院行った時、調べたら、」

子供だって。

目線を伏せながらそう言った竜也の手の上に、一拍置いてから克朗の手が置かれる。

「嫌…なのか?」

「そうじゃ無いけど。」

これ以上隠し通せる気がしなかった。

何より、こんな状態でとても喜ぶ気にも…そして…とても育てる気になんて。

産めばこの家庭と引き替えになる。それを覚悟しなくてはならなかった。

強く握られた手の温度に申し訳なさが込み上げて泣きたくなる。


実は…

と言いかけた竜也の言葉は、抱き寄せた克朗の腕に遮られた。

「あっ・・」とそのままベットへと沈む2人。

「家の子だ…産んでくれないか…」

耳もとでそう言った堅い声に。竜也の腕が彼の背中へと回って肩口に強く縋り付く。


「いいんですか?」

その問いに身を起した克朗の顔は苦笑しながらも穏やかだったが…。

「君は、俺のモノだろう?」

例え何があっても、そう言って微笑した。

再び竜也の上に身をしずめると同時に、枕元の電灯が消され、再び部屋は街灯の明かりだけが差し込む暗闇へと戻って行った。




竜也の鎖骨のラインに軽く口付けながら、降りて来る彼の手がエプロンをめくり、ズボンを下まで降ろす。

「克朗さ…ん」

うわ言の様に呼んだ名前に答える様に胸元を吸われて微かな声がもれる。

露になった股を付け根から下へとなぞっていた指が、そのまま膝小僧をまわって裏へと静かに入り込んだ。


「…・?」

え?

熱に浮かされはじめて居た竜也の背筋にぞっと危惧が走り向ける。

はっとなった時は、自分の身体が2つに折られ頭の横上に両の膝が浮いて居た。


「待っーて…!!」

皆まで言えずに息を飲む。

見開かれた瞳から声より先に漏れ出す涙。

「・・ぁっ・・あ・・ぁ…」

痛みに、声がつまって…。

けれど何より怖いのは圧迫された腹。

「・・ちょ・・っあ・・あ。」

「い・や・・だ・・。」

無造作に進んで来る克朗に始めて恐怖を覚える。

ここまで来て、始めて彼がどれほどの怒り腹の内に秘めていたかを知って。

のしかかって来る体重を両手で必死で押さえながら。

痛みで遠のく意識を必死でつなぎ止める。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。


「く・・・つ・・あ・」

力と力の攻防。

繋がってるなんて嘘みたいなのに、それでも時折微かな克朗の動に背を仰け反らせる竜也。

下から内腑を伝わって来る激痛に混じる甘い痺れに腕が震える。

上から押さえ付けてくる彼はまるで石臼の様で、彼にも重力にも、ここにある全てにも逆らってるのは竜也1人だとでも言うような圧力。

「竜也…力、抜いてくれ。」

額に浮き出た汗を拭いながら優しく問いかける声。

「いや…だ・・ああ・・ぁああーーーー!!!!」

一瞬後に最奥まで貫かれていっきに硬直する身体。

「ぅ・・っ・・ぅ・・あ」

口から胃が飛出るかと思った程の圧迫感。

信じられ無い程奥へ刺さった彼の肉塊は、断罪のメスに思えた。

殺される…。

俺が?子供が?

こじ開けられた中から溢れる体液がどっから沸いて出て来たものなのかもう分からない。

全身を恐怖が支配する。


「タツヤ…」

「頼むからもうこれ以上。俺を怒らせないでくれ。」

上から降る声。

優しく、くぐもったかすれ声だった。

けれど伝わって来るのは押し殺した怒りばかり。


「・・っく・・っ・・ぅ」

名を呼んでも、痛みに気を取られた竜也が克朗を振り向く事は無い。

痛みに歪んだ綺麗な横顔を残念そうに一瞥してから、彼は動きだした。



「ん・・ん・…あ、っぁああ・・あっ」

いいか?

と聞かれて、自分は「いい。」と答えていたかも知れないと思う。

頭の中を巡るのは卑猥な音と助けを求めてあげる悲鳴。それから…もっとと言う声。

痛がって逃れようとする竜也の足を引き寄せて、更に深く、打ち付けて行った……。









「兄キ?」

居間のソファーでもう3時間。

怖い顔した亮が腕をくんだまま、TVを見て居た…と言うか、睨み付けて居た。

「んだよ。」

「お風呂あいたけど、」

「ああ・・・。お前さぁ。」

「何ー?」

「あの義母親どう思う?」

タオルを首に巻いたままきょとんと亮を見る竹巳。

「どうって…。」

「兄貴こそ…。俺、前から聞きたかったんだけど。」

紙パックを冷蔵庫にしまいながらふっと真面目な顔になった竹巳に、亮がちょっと眉を潜めて反を返す。

「ああ?」

隣に来て、座ると亮の顔を真直ぐに覗いた。

「お義母さん、妊娠してない?」

ドックンと心房に鎌の落ちる亮。

「兄貴の子?」

「はあ?んなワケ」と亮が反論しかけたその後ろで、

ガコンっ!と厚いガラスの落ちる音。


「嘘。」


「…お前」

今にも崩れ落ちそうな顔をした将がそこには立っていて。

暫く放心した様に狼狽していたが、すぐに「ど−言う事ですか、」と亮に詰め寄った。

一瞬引いた亮だったが、話も聞かない内に真っ向から自分を睨み付けて来る将に…

いや、彼の予想が直球で真実をついていたからこそ、煮え立った腹から出る言葉。

「どーもこーもお前には関係ねーだろーがよっ!」鼻で笑う。

「関係有ります!お母さんに何したんですか!!?」

「何したか言わなきゃわかんねーかよ。」

「!!!!」

「ちょっと…。」

放っておけば今にも亮をぶん殴りそうな将と、今にも握ったコップを将に投げ付けそうな亮の間に竹巳が割って入ったその時、

物音を聞き付けて居間のドアから「ど-うしたの?」と顔を出した誠二が…

1分後。

大爆笑。


今までキれて居た兄弟の視線が一気にそこへと向けられるが、

お構い無しに笑い続ける誠二、

「んこと有るワケねーじゃん。家の義母さん男なんだからさ--!!」

と明るく言い放ったその面に、竹巳のグーと亮のコップがめり込んだのは言うまでも無かった。



「テっメぇ〜〜どっから撮り直しになると思ってんだよ。」
「あ、ちっと辞めましょうよ先輩、スマイルスマイル。」
「一ペン死んどく?誠二。」

「・・・。あはは。」




ポカンとして居た将の後ろから。

「何してるんだ?」とかかる声。

「あ、お母さん。」

風呂上がりの格好で取っ組み合う3人を眉を顰めながら?と見つめる。

「お母さん子供って、本当?」

「いや。」

一瞬にして本気で「へ?」と言う顔になった将に竜也が笑う。

亮も竹巳も固まって居た。

「そんな訳ないのお前が一番良く知ってるだろう。」と苦笑しながら去って行く。

「お母さ…」「おーい、ちょっと。」

突然後ろから掛かった声に降り向くと、

隣の窓から覗く兵助の姿。


「とっくにカット、かかってんだけど。」


「・・・・。」






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スイマセン、一杯一杯です。あたし…(泣;;


























































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