日の名残
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「ここ、すっげーの…」

判る?

耳たぶの上で囁く男の声。

それだけが今頭の中を回っていた。

「しっかしド偉い親を持って、あんたも大変だよなぁ?」

同情するね。


「ー…・・ーー!」


奥へ入って来る指の痛みに限界まで開かれた膝が閉じようと、自然閉じようと強張るも、

足の間に入り込んだ彼の身体によってそれは叶わなかった。


「大事な一人娘を、こんな所にブチ込むなんて、俺にはちっと考え付かないけどよ…」

囁かれる嘲笑。

男の背中の向こうから響いて来るちゃぷちゃぷと言う派手な擬音が、未だに自分の物とは思えず。

呟かれる責め句にただかぶりを振った。


「もしかして、初めて?」

「…・・〜〜・・・…」

奴は笑った。

そして、耳たぶから項へ立てられていた舌が、そのまま中へと入って来る。

「ー…!」

思わず漏れそうになった吐息に逃げを打った身体が、押さえ込まれ、

「だろーと思ったけどよ。」と…

「こんな格好じゃ、女にはモテてもなぁ…」

言葉と一緒にぐっと奥まで差し入れられた指に、

ビクリと背筋を走る電流。上がる寸前の細い悲鳴を噛み殺して、深く息を吸った。

1本目に沿う様にして入り込んで来た2本目が、探る様にゆっくりと進みながら、竜也が嫌がる場所を見つけては、柔らかな内壁につめを沈ませて行く。

「…〜〜…〜…」

「イイなら言えば?…言ってもいんだぜ?…いんちょ〜さん」

「こんな細腕で男40人まとめて上げてんだから、恐れ入るぜ…」

中に入れた指をゆっくりと動かし出せば、

ぁっ〜〜〜……・・…」

きつく眉を寄せたまま喉を仰け反らせ、

堪えられない指が男の学ランの袖をきつく掴んでいた。

痛いのか、それとも…悲鳴を上げそうになる声を必死に押さえて。

暴れ出す両の膝を押さえ付け、まだ何も知らない浅い色の、狭いその道を奥まで暴いて行った。





何故誰にもばれなかったのか、

整った精嘆な顔立のせいか、その中性的な面影に疑問を抱く者がいなかったのは…

否、居たには違い無い。

だが、男子校と言う定義がその疑惑を葬ったのだ。第一。

もし「そんな事」を一秒でも考えてしまった日には、相手の性別よりまず、自分の眼鏡を疑う方が一般的だろう…


都内の某有名私立の男子校。

水野竜也は

こうして半年以上と言う歳月を、ここで繰り返していた。

ガクランを着た女史だったのだ。

今日の今日まで…いや今だって自分意外にこの事実を知る者はいない…

文武両道、都内でも指折りの進学校、

まさかそんな所で、一躍その名を馳せるサッカー部のエースが

彼じゃなくて彼女だなんて…

使い慣れた男言葉や、身のこなし。

どう言う経緯でこんな事になったのか、知りもしないけど。

どうしてもそれが偽装なんて言う一朝一夕の作り物には見えず。

そうやって育てられて来た自然である事は、間違い無さそうだった。


今さら女と言うには人から見ても確かに無理が有りそうな…本人にはもっと無理だろう…と言う位。

そのルックスや四枝に目を見張っても、目に映るのは確かに少年の眼光で、

美少年。そんな形容が似合う彼は。

まさに、完璧な一男子生徒のハズだったのだ。


すました顔が余計に生意気に見える。後輩水野。

学級委員とサッカー部のエースの二足のわらじをこなす。真面目で、何故か自信たっぷりの

嫌味な優等生。

それがまさか…

『それじゃあ俺は今まで女相手に競ってたって言うのか…』

冗談じゃねえ!!

おまけに親はこの学園の役員で監督と来た日には。

これはもう、犯罪だぜ…






引き抜いた指は濡れていた。

ほっとした様に力を抜くと、ずるずると椅子の背もたれに沈んで言った。

同時に腕が、俯いた顔の下で何かを拭って居た。

教室の椅子の上に深く座り両足を上げて膝を開いたまま、くたり…と背もたれによりかかり、時折余韻に肩を震わせる、彼の…姿。

上半身はまだガクランのまま。

右足首に残る、とてもその制服からは似つかわしく無い女物の下着が、余計に卑猥だった。

そのまま少し身体を放すと、ぐっと更にその足を目一杯まで広げる様に促せば、

乱れた前髪の下からきつい眼差しが見上げて来ていた。

目尻に涙を溜めながら、それでも挑む。その目。

「あんたが見んのはそっちじゃねーだろ」

視線をそらさぬまま、一つくっと笑うと。

その顔を見ながら再び彼女の下の茂みへと指を埋め、柔肉に包まれた突起を探り出す。

ヌルリっと走った衝撃に、挑発的だった眼差しが歪んで行く。

「・…めろ…」

そう口走った時の視線は既に虚ろな物へとなって居た。

「見てみ、」

言いながら、ガクランのボタンを上から一つずつ外して行く。

すると先導される様にその手を追って居た視線の先が捕らえたのは…

自分の足の間に覗く、濡れた赤い突起物。

無骨な指に嬲られながら、見隠れするそれに…

息を飲んだまま目をそらそうにも逸らせなかった。


はあ…と小さく息を付いて、

気付いた時には頬がすっかり熱くなりながら。鼻筋を伝う涙の感触。


見られている…

視線を感じて顔をあげれると、

ちょうど見下げて来ていた男と目が合って、ひょいと目の前に差し出されたのは

胸にまいていた…さらし…

あっとなる自分の顔に、相手は微かに唇の端を上げただけだった。

それはすぐ横の机へと落とされて行った。


ボタンの取れたガクランをそっと開けば

「……これがあんたの正体?…坊ちゃん。」

そこには見事に膨らむ…2つの乳房。

「あんまりつぶしてっと、形もどん無くなったりしねーの?」

まず片房を、そっと包んでまた元にもどす。それから先端をつまむと、堪え切れずにかっとなった竜也が顔を背けていた。

そのまま白いそこへ口付けていく。

まさかこんな所で拝めると思っても無かった。白く柔らかなこの感触。

「こんなもの…」呟く声。

だが男はそれを鼻で笑った。

「いらないって?」

そして一切強くそれを掴み上げたのだ。

「ぃっ…・・…」

突然の彼の苛立ちに、戸惑いながら、自分のそこを掴む腕を思わず掴み返していた。

「何のつもり…だ?・…三上?」

「先輩だっつってんだろ…」

どこか虚ろな低い声。

危惧を感じる前に、ドンと背中を打ちつける衝撃と一緒に、視界に映ったのは、天上の…景色。

「ちょ…・・やめろ…・何を!」

ぐっと腰を折り曲げられて、秘部を自分の前へと晒し出される。

上からのしかかるその男の力。

フィールドの上では同等でも。力比べには…勝てない。

まるでそれを自分に思い知らせるかの様に、

「!」

そして中に、入って来る指の感触、

無ければ良かったのに。と幾度も打ち消そうとした、自分の女の器官が今目の前に合った。

淡いピンク色の肉の奥に、赤々と口を開ける入り口。

「幾らぶったってな。お前のここはそうはいってねんだよ!」

ゆっくりと出し入される指。

「あ…」

おされて、引かれると同時に、ドクリと身体の中から沸いて来る、体液。

抜かれる同時に、無意識に指に吸い付いた肉がちゅっと音を立てていた。

かつて無い程上がる体温。破裂しそうな心臓の音が鼓膜の奥で鳴って居た。

「何が欲しいって?…言えよ…」

「いや…だ」

増えて行く指

けれどそれは、捕らえようとした瞬間に入り口わずかな所で逃げて行く。

「みろよ、」

拷問は続く。

一杯一杯に指を飲込んだ狭い割れ目は、裂けてしまうんじゃないかと思う程、赤く色付いて。

「欲しいってさ。」

今にも泣きそうになって自分んを見上げている、悔しそうな顔に、満足の笑みを漏らして…

微かに開いたガクランの隙間から覗く白い乳房と色付いた、その先端、

ふと気付いてしまった、その壮絶な格好に知らず喉が鳴る。

責め句の一つも忘れて、見いっていた。


始めて自分の限界を感じる。



「〜〜っ・・…〜…・」

『言うまでやらねえからな。』

何を?

言う訳無い。

思いながら、尻の穴まで舌が這って去って行くと、堪え切れずにカタカタと歯がなった。

とても処女だとは思え無い程の反応の良さに、早る気持ちを抑えながら、丹念に追い詰めて行く。

思い知れ、お前が引き裂いた男のプライドがどんなものか。


指を噛みながら、流れる涙に耐える横顔を意識の遠くで見ながら繰り返した。


「言えよ。」

「俺が欲しいって。」


そこにはただ犯されるだけの女と俺の姿。それに薄く笑うものの。

自分の方だって、体中に溜まった血は限界が近かった。


「・・…・・…」


声にはならなかった。

だが、微かにそう形どった唇を見逃さなかった。


ベルトを開ける音に、ちらりと奴がこちらに視線を配ったのが判った。

宛てがうと、びくんと揺れる身体。

だが視線は外れない。

それは…悲しい様な…切ないような…買えないおもちゃを欲しがる子供の様な、複雑な、顔だった。

ーーーーー。

しかしそのままぐっと押し進めると、歪んだ顔が悲鳴を堪えて瞳を硬く閉じていた。

「…・・っ・・・ぁ…」

少しづつ溶けて行く声に、ぐっと身を乗り出すと、そのまま深く上体を沈めて行った。






どくんと自分の心臓が脈を打った衝撃にはっと我に返れば、

2度目の精を奴の中に放った後だった。


や…べえ。


慌てて、身体を放そうとした所で、やっと背中にすがって居た奴の手に気が付く。

彼女は…

泣いていた。

多分、それがセックスのせいじゃ無い事は…確かで。

中に出された。と言う事の意味すら、分かっているのかいないのか、

赤い顔のまま、時々鼻を小さくすすりながら、自分から顔をそむけていた。


「ちっと…抜けねーから…」

背中の手を緩める様に促すと、

ゆっくりとこちらに向けた奴と目が合った。


何も映していない虚ろな瞳。


その時刺さる様に感じた罪悪感は、何だったのか…。

同情なのか。

それとも…

考えながら、

考えても今さら何にもなりはしなかったけど。


…・・


そのままぐっと抱き上げて、繋がったまま向き合うと小さく唇を重ねた。

ぼんやりしていた瞳の焦点がはっとした様に自分を映すと、

「何すんだよ…」と眉を寄せるながら、

いつものアルトが言葉より先に頬を染めていた。



「孕んだらどーする?」

「転校なんかしてやらないからな…」

「マジで!?」

言いながらその身体をもう一度抱き締めた。

「じゃあ、先に貰っとくわ。」

「・・・・。」

返事は無いまま、顔を埋めた奴の胸だけが暖かかった。






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総べて都合の言い様にだけ書かれています。色々と、大めに見ていただけると助かります(--;;
ここまで来るともう、裏に出すのもどうかと…悩みつつ…;










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