+unバースデイ+

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約束をしてた訳じゃ無いけど。

夕食の後ベットの上に転がりながら考えていた。

何度目かの寝返りを打るながら…「やっぱり行こう!」と思い立って。

かけてあったコートを羽織りマフラーを首に巻く。バタンと鳴ってドアが閉まるまで数秒とかからなかった。

「たっちゃん?」

ばたばたとかけて行く音に台所から真里子が顔を出した時には既にタツヤの姿は無かった。


1月22日。

忘れてた訳じゃ無い。否、むしろ意識し過ぎて切り出せなかっただけだったのに。

数日前。

「お前今度の水曜空いてる?」

と家の前で別れ際に三上が切り出した。

水曜?水曜は部活の後に出かける予定。そうちょっと買い物に…。なんせ今週の土曜が22日だったのだから。

「いや、水曜はちょっと。」

「何だよ。」

珍しく竜也の返事にムッとて返して来た三上に一瞬「?」マークが浮ぶが。

「ふ〜ん、誰と浮気だって?」

そう言って意地悪っぽく笑うと軽く頭をこずいてきたので、竜也もそのまま流していたのだった。

「ちょっとね…」と言ってやり返す。

「じゃあまた来週な。」

2人の間で来週と言うのは、自動的に寮の帰宅が許されている日曜の事を指していた。

「あ、…そうだな。」

土曜じゃいけないだろうか?

だが土曜はお互い部活が有るし、特に桜上水はサッカー部がグランドを目一杯使える日だから暗黙の了解で会うのは日曜になっていたのだった。

でもその日位は早く帰って来るから…と言おうと思いながら…

「じゃあな。」といつも通りに去って行く三上に声をかけられぬまま。

今日になって居た。

あいつは何も言わなかったけど。そりゃ子供じゃ有るまいし、あいつの中ではもう大した事じゃ無いのかもしれないが。

どうせ次の日に会うし、気にして無かったんだろう。

しかし何となく家に居ても落ち着かないのは自分の方で。

結局…。


勢いで来たはいいが、今は夜の8時。ケータイはさっきから繋がらないし。

門限の過ぎたサッカー部寮はきっちり門がしまっていて玄関口の照明も消えていた。

「・・・・。」

寮にいるんだから…今日は今日であいつにも他の奴との付き合いってもんが有るじゃ無いかと…今頃ようやく気付いて。

『…らしくない事なんてするんじゃ無かった。』

と心の中で落胆しながら、暫く寮を見上げていた竜也に後ろからドンと何かがぶつかって来た。

「水野じゃーん!?こんな所で何してんの?」

聞きなれたひそめた声に振り向けば、ニコニコしながらコンビニ袋をぶら下げた藤代だった。

「ああ、ちょっとな…」

「誰かに用?」

「まあな…。」と苦笑いを繰り返す竜也に藤代が首をかしげる。

優等生のお前がまさかねえ…

「珍しいじゃん。で?誰に夜ばいに来たの。?」

「−−−!!なわけないだろう…」思った通りの反応を返す水野が面白ろくて、ぽんぽんと方を叩きながら「じょーだんじょーだん。」と笑って言う。

そんな藤代に更に眉をしかめる竜也だったが。

「で、ホントは誰似合いに来たの?何か用でもあったんだろ?」

「ーーー・・・。」

渋い顔をした竜也の横で藤代がニヒヒと笑って居た。




「み、三上先輩!!?」

しーーっと声を上げた藤代に人さし指を立てて制す。

「ああ、悪りぃー悪りぃー。…まさかお前が闇討ちねえ…。」

以外とストレスたまってんだな。

う〜〜ん。と真面目に考えようとする藤代の横でもう無言の竜也。

「・・・・。そうじゃないけど。」

まあ、付き合ってると知られるよりはマシか…?。

「あーでも今日三上先輩いないんだよねー。」

「実家?」

「いやコンパだとか言ってたけど。」

コンパあ?

「へーーーそうか。」

その時、真顔でそう言った竜也の顏を藤代が黙ってみていた。

「ま、寒いしナカ上がってきなよ。」

「…そうだな、じゃあ。そうさしてもらうよ。」

藤代の後につて用具室の窓から忍び込む。親父に見つかったら…とか普段だったらきっともっと色んな事を考えるのかもしれないが今日はそんな事どうでも良かった。

コンパだから。

もう笑うね。

かじかんだ手に何に向けてかさえ判らない怒りが込み上げる。

勝手に入って良いものなのか…「三上/渋沢」と書かれた部屋に極なれた手付きで入って行く藤代に付いて行く。

「キャプテンは実家だし。三上先輩はも多分今日中には帰ってくっから、ここで待ってようぜ♪」

と嬉しそうに、ヒーターをつけると人の部屋をかってに漁りポテチと隠してあった酒を出して来る。

「水野飲める方?」

「まあ、普通には。」


時計は11時半をさしていた。

散らばったトランプに空き缶を挟んで、監督の愚痴とか。(誠二の)渋沢自慢とかで意外に盛り上がっている2人だったが。

話の切れ目にふと藤代が言い出した。

「なーなー水野ってさー付き合ってる奴とか居る〜?」

「一応ね。」

「へー男?女?」

くっとむせ返りそうになりながら藤代を見るが…ニコニコしているだけで。

真面目な質問だったらしい。

「何聞いてんだお前。」とそっぽでカンビールを飲み下す。

「またまたー。けどまさか三上先輩だとは思わなかったけどな…!!」

今度こそ本当にむせ返った竜也を見て藤代が悪戯っぽく笑い。

「けど気をつけないと、先輩浮気癖あっからさーちゃんとチェック入れておないと…」と冗談めかしながら竜也の不安を煽る。

「からかうなよ。」

と睨まれても動じない。

「で?先輩の何処がよかったの?」

膨れっ面の竜也に今度は顔を近付けて小声で聞く。

「上手かった?」

そして竜也の平手がばしっと背中に当たる前に笑いながら身を引いて行く。

「何か今日のお前、三上みたいだぞ。」

「げっ!!マジで?」やっべーよそれ。と本気で嫌がる藤代をいまいましいと視界から外す竜也。

「いやでもマジでさーお前モテそーだし。意外だなー。」

「そーでもないよ。」

とちょっと赤くなりながらちらっと視線を戻すと、笑う藤代を叱る。

「誰にも言うなよ。」

「判ってるって!」

絶対判って無い。と思いながら、厄介な奴に知られたと溜め息まじりにビールを口に含んだその時。

視界が歪んだ。

「!?水野?」

藤代の声が聞こえて、視界には歪んだ天上の木目が映って居た。

歪む視界の中で空き缶の中からナニやらカンを拾い上げた藤代が

「あっ…。」

と言って不味そーな顔で竜也を覗き込む。

「大丈夫か?水野…?」

視力はあるが目が回ってそれ所では無かった。心配そうに覗き込んで来た藤代の手が首筋に触れただけでびくっと身体が跳ね上がったのが、自分でも良く分かった。

判るのは自分の体温が過剰に高くなって行くと言う事だけ。

何だ?

何なんだ?

「あっちゃー・・・。」

「俺先輩に殺されっかもしんねー。」

そう言いながら、少しためらいながらも上から覆いかぶさって来る彼の姿。


「水野ごめんな?けど辛いのはお前だからさ…」


「何?」


「ちっと我慢な」

声が聞こえる。

「なっ…・・」

首筋に埋まっって行く彼の体温にさえ身体が仰け反った。







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もしかしたら続きは裏になってしまうかも知れません。
ありがちなネタですが、一度かいてみたかったのだ。。。

































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