世田谷物語1-3
今回は渋水
----------------------------------------------






夕食の席の事。

「今度の日曜何だが、皆あけといてくれないか?」

「は?」

顔を顰めた亮に、スープに口を付けていた竹巳も顔を上げる。

将と顔を見合わせていた誠二が「いいけど何でー?」と克朗の顔を見ながらちょっと期待のこもった声を上げる。

「お祖母様が新しい家族の顔ぶれを見たいって…。」と竜也が横から説明に入る。

それを聞いて1人固まったのは亮。

「ばーちゃんが!?まじでまじでー。俺ばーちゃんいんのも知らなかったし!!」

誠二のはしゃぐ声にうっとつまりかけた克朗に。咳払いの竜也。

だったがかろうじて持ち直す。

「ああ、誠二や竹巳は会うの初めてだったな。」


「あ、俺無理。」


家族の視線が一斉に亮へと集まる。

「でも亮君…。」

「約束入ってっから。」

「亮、夕食に間に合えばいいんだが。」

「だから、」

「じゃあ、家の方から車まわしてもらうから、遅くなっても顔を出してくれないか?」

…車?

一瞬だけ皆の箸が止まるが、またすぐに元に戻る。

とにかく嫌だの一点張りでそっぽの亮。

それをハテナ顔で見る将と竹巳の横で、誠二だけが手放しで喜んでいた。





「亮も結構頑固だからな…」

電気を消した寝室で、竜也の頬を撫でながら克朗が溜め息まじりに言う。

「亮はもうそ−言う年頃なんだって母さんにも話したんだが、あっちもあっちでまた頑固でな…」

まるで中間管理のぼやきのようだ。

「…困りましたね…」

クスリと吐息をもらしながら竜也が笑う。

「…ん…」

息が掛かったと同時に質量をましたソレを、歯を立てない様に丁寧に口の中に納めて先端を吸う。

ちゅっと音を立てて離れると、暴れようとするその根元に指先を添えて、側面を幾度も舌でなめ上げる。

「…っ…ん…」

華奢な顎が賢明に自分に奉仕する。その様子をどこか満足げに見ながら、撫でていた竜也の頬を両手で掴むと一度自分から外させた。

恍惚となっていた竜也が『何で?』と言う顔で見上げて来る。

「お前の方からも亮に言っておいてくれないか?」

「俺が?」
「…返って亮の機嫌を損ねると思いますけど…」

「大丈夫だろ…。」

自分の唾液と克朗の精気で濡れた口元を指で拭ってやりながら、笑顔を向ける。

「君はあいつの母親なんだから…」

と言われる。

「…言うだけ言ってみますけど、」期待しないで下さいね。

やや困り笑顔でそう言った竜也の腰を持ち上げて、

「あ…」

バスローブの裾をめくりあげると、ベットに腰掛けた自分の上に跨がせる。

ぐっと腰を引かれると入り口に堅い穿つが当たった。

「え?…ちょっ…まって…?。」

そして、もう十いきり立った自分の上に、まだ何も解していない竜也を突き落とす。

「いっ…あああぁ…ああ…あ…いや・・あ。」

背を仰け反らして逃げようとする腰をゆるさず、更に深くへと侵食して行く。

「…っか…つろ…さん…?」

苦しい息の下で自分に呼び掛ける妻に優しく笑う。

「…ぁあ・・んっ…」

「心配しなくても、お前に逆らえる男は家にはいないさ…特に亮は…」

皆までは言わず竜也の腰を掴むとギリギリまで持ち上げて再び落とす。

再奥まで突き刺さった巨大な圧迫に竜也が悲鳴を上げた。

何度も下から突き上げる度に鳴き声が甘く崩れて行く。

背中に爪を立てられるのを感じながら、濡れて行く熱く狭い竜也の中を感じて、さらに強くその腰を抱き込んでいった。






日曜日、結局亮も乗せられた車の中

「兄貴、…兄貴?」

「!っ。…あんだよ。」

ぼーっとしながら同じ格好で固まっていた亮が竹巳に揺すられてはっと我に返る。

「どしたの?」

「なんでもねーーよ。」

とまた窓の外。

「兄貴、もしかして…緊張してる?」

「は?してねー…」「おばあちゃんて、何なの?」と小声で囁かれるが、

「…親父のお袋。」

「・・・・。知ってるよ。」

一体。一体全体この亮が何をそんなに恐れているのか…竹巳にも見当が付かないのだが。

それが渋沢一家にある事だけは間違い無かった。

昔、そう言えば竹巳も誠二もまだ小さいからと、長子の亮だけ連れて父が里帰りした事があったのを思い出す。

…何があったんだ…この兄貴に…。

ちらっと横を見ると今度は握ったペットボトルの一点を見つめてた。

・・・もうダメだ…この人。



「へーここがキャプ…父ーさん家かー。」

と言った誠二の足が三上に踏まれる。「ったいじゃないですか!」

「それにしたって広いっすねー!」

東京世田谷のど真ん中だと言うのに優に数十メートルはある石垣に和風木作りの重厚な門。

玄関へ続く石畳を通りながら一同が日本庭園風の庭に目を見張る。

「お帰りなさいませ。」

克朗が引き戸を開けると出迎えたのは、どう見ても。

「ばあちゃんには見えねーよな…」

「誠二、ちょっと黙っててよ。」耳打ちすると竹巳に叱られる。

着物姿の仲居さん。

「ああ、ただいま。」

そう言うと、皆に上がる様に告げて入って行く克朗。

「お待ちしておりました。」

と上がろうとした竜也に仲居が顔を上げてニコリと会釈する。

「あ、どうも。」

その何となーく意味ありげな笑みに苦しい笑みで何とか返す竜也。

案内された廊下を歩きながら、皆どこと無く気付いていた。

亮の嫌がったわけを…

「何かTVに出て来そうですよねー。」

通された座敷きで誰1人喋らない中、「そうか?」と克朗と気付いて無い将だけが呑気に茶をすする。

その横には偶然、気付いたら隣同士に座ってしまった竜也と亮。

さっきから何となくこちら側に傾く竜也の視線に「見んじゃねーよ。」と叱咤するが…

「しょうがないだろ!」と逆に小声で切れる竜也の剣幕に押されて亮も黙る。

なんせ反対側の壁に掛かっている掛け軸には、毛筆で堂々。


仁義


ここまで、ここまで分かりやすくする事無いだろう!!…と、もう目のやり場に困る面々。

「すまないな、急なお客が入ってしまったそうで、すぐ終わるからもう少し待ってて欲しいそうだ。」

内線に出た克朗が戻って来て座るのと同時に亮が吹き出した。

瞬間ピンっと言う小さな音がして将の持っていた湯飲みに丸い小さな穴が開く。

じょぼじょぼ…と静寂の中テーブルにこぼれて行く緑茶。

今、黒い何かが飛んで行った方を見るとふすまにもやっぱり小さな丸い穴。

「・・・・・。」

「ああ、すまないな。いつもの事なんだ。無闇に動かなければ滅多に当たらないから、大丈夫だ。」

笑顔でそう告げる克朗に凍る一同。

んなわけねーだろが!

竜也の隣で声を押し殺しながら亮が呟く。

だが動くなといわれ無くても、動ける分けも無く。

その時、突然ふすまを突き破って飛び込んで来た黒いスーツの男が、

ガっシャーンとど派手な音を立ててテーブルの上にダイブした。

途端破れたふすまの向こうには。100畳は有りそうな開けた座敷き、そして。

一斉にこちらを降り向くうん十人の黒服の男達と…手にはマジチャカ。


しかし、そんな事より克朗の注目は今こちらにあった。

「坊ちゃん、お怪我は!!?」と言う声を片手で制し、話し掛ける。


「亮、大丈夫か?」


飛び散った木片を受けた亮の右の二の腕から服の上に血が滲んでいた。

だが。

そう言いながら克朗が手を伸ばしたのは、その腕の中に庇われていた竜也の方だった。

『・・・。おい。』

どうしてかは判らない。だがその態度が何となくムカっと来て…

その時亮は、腕の中から引き起こされ様としている竜也の腰に腕をまわし、克朗に渡すまいと引っ張ったのだ…。

「!?亮?」

「!?」

驚いたのは竜也も一緒。

「もう…大丈夫だ。ありがとな、」

「ああ、」

しかし放さない。

ん?と困る克朗を見返す真顔の亮。

糸が張り詰めて行くような無言の攻防がかわされる。


「亮君手、止血しないと…」

気まずい空気を破ったのは竜也の一言だった。

数分後、運ばれて来た救急箱で竜也に包帯を巻かれながら、視線で克朗に敵意をむき出しにする亮と、

前を向いたまま茶をすすり、刺さる視線に耐える克朗。

まっぷたつに割れたテーブルを前に、茶菓子を救った竹巳に、そこから金つばを取り出す誠二、

そしてとっさに手にとった急須から自分の茶わんに茶を注ぐ将が。その様子を深々と見守っていた。


「兄貴の奴、とうとうやっちまったか…」と言う誠二の小声が聞こえて、竹巳が隣ヘと目を見張るが…。



「だから嫌だつったのによ…」


暫くしてふいに吐き捨てられた亮のセリフに、何事も無かった様に元に戻って行く空気。

ただ2人。竹巳と竜也だけが、それぞれの胸に思惑を残して行った。






NEXT

TOP

-----------------------------------------------------------
すみばせん。眠くてもう何書いてるか分かって無いかも……。


















































SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ ライブチャット ブログ