スペシャルデイ
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「おは…水野君、今日も休み?」

グランドへつくなり風祭から出たのはやはりそのセリフ。

「おお…」

と言いながらどことなく空気で顔を見合わせる面々。

水野竜也が、何の音沙汰無しに欠席しだして4日目の事。

「学校も休んでたし、風邪じゃねぇ?」

「そっかぁ…」

「珍しいね。」去年のインフルエンザだってマスクしながら出て来てたあの部活の鬼が…

とは口に出さなかったが。

実は彼に染されて、冬休みを半分棒にふっていたカザは、そこで黙って居た。

取りあえず、荷物を置こうと部室へと駆けて行く所で、

ボールを頭ではじきながら、どよめく面々の向こう、どこ吹く風とそれを見て居たシゲから声がかかった。

「ほな、今日ちょいよってくか?」

「そーだね、」

3年に進級した彼等には最後の試合が近かった。







「あら、シゲ君に、風祭君、久しぶりね〜v」

とドアを開けながら相変わらず嬉しそに微笑んだ真理子につられて、こっちもつい笑顔に…。

「こんにちは、」

相変わらずのたおやかな口調。

「こんにちは、あの…竜也君のお見舞いに来たんですけど。」

「まあ、わざわざありがとうね…でも…」

と頬に軽く指先を置きながら、何か苦笑い。

「何や、そない悪いんか?」

と横から出たシゲにも

「そ〜言う訳じゃないんだけど…」と更に言い淀む。

「・・・・?」

二人の顔を見ながらう〜〜ん。と少し考えて居た真理子だったが、ふいに小声になると

「ま、入って」と玄関の中へと招き入れた。

音を立てない様にゆっくりと玄関の戸を閉める。どうやら、二階に入る竜也の気配を伺っているようだ。

さすがの風祭もそれを察して、無言のまま音を立てない様に靴を脱いだ。リビングに上げられて…

「何かあったんですか?」

「うん…。竜也には言うなって言われてるんだけど…」
「もう3日にもなるし。あの子お医者さんにも行こうとしなくて…」

え?っと顔を見合わせるシゲとカザ。

只事では無くなって来た雰囲気に手元のカップを置くと、身を入れて真理子の話の続きを待つ。

「ずっとこのままって訳にも行かないと思うから、」

「真理子さん?」

らしくない端切れの悪さにとうとうシゲが入る。

「何があったん?」

真面目な顔で問えば。

ああ…と言う苦笑い。

「その、命に関わるって訳じゃ無いのよ。多分…」

「多分?」

なんだ、と言うほっとした空気と、じゃあ何なんだと言う膨れ上がる疑問符に声をそろえた二人。

その時だった、


カタンと言う軽い音がして、キッチンの戸が空いた。

そこに現れたのは紛れも無く…普段着姿の竜也。

まだこちらには気付いておらず、棚からコップを出すと、そのまま冷蔵庫へと向かう。

「あらら〜」と言う顔で苦笑いする真理子の前で、一挙一動立てずに固まるカザ。まるで鬼ごっこのあの時の様に。

所が、

「何やタツボン、元気そうやないか!」と耳もとで響いた声に、ゆっくり振り向けば、

なんて事ない顔してからからと竜也に話し掛けるシゲの姿。


その瞬間、ドンっゴ!と鈍い音を立てて竜也の持って居たペットボトルが床に転がり落ちた。

驚きに見開かれる目。

「何や?どないしたん?3日も風邪で休んどるって聞いて見舞いに来てやったんやで。」

「・・・・・・・・ど、どうも。」

「!?…ほんまに声変やなお前…」

「水野君、やっぱり風邪?大丈夫なの体・・」

竜也の姿を見つけてほっとする様に緩んだ二人の顔が、

今の竜也にはむしろ…

突き刺さって居た。

「あ、ああ。悪いな」

と言いながらソファーで1人、申し訳無さそうに、しかし笑いを噛み殺している真理子を睨むが。

「ごめんねたっちゃん、でもお母さん、そんなにいけない事だとは思えないのよ。これからずっとそのままだったら…いつまでも隠してる訳には行かないでしょう!?」

その言葉に?を浮かべるカザ。


ふ・ざ・け・る・な…

絶対楽しんでる。こいつ…いや母さんめ。

しかしシゲとカザの手前それを言葉にする事は出来ず、手の震えを押し殺す。

「せやけど、タツボンなんか…」

その声に視線を戻せば、モロこちらを見ながら観察中のシゲと目があって。

「本当だ、水野君随分、痩せたんじゃ無い?」

と本気で心配するカザ。だが、シゲは…

「ちっとええ?」

と言うなり席を立ってこっちに…


考える前に逃げ出して居た。キっチンから飛び出して階段を駆け登る。


「な、なんやあ!?」と声を荒げながらも、血相を変えた竜也が飛び出すと同時に何とカザの静止も聞かずにシゲもその後を追って居た。


部屋に駆け込んで、力一杯閉めたドアの隙間に肉の感触。見ればギリで追い付いたシゲの手首。

うわ…と思いつつ、ドアに張り付けば、背中からぐっと押されてまたそれを押し返す。

「いったいわ…こんの・…。」

「くそ…こいつっ…」

背中越しの攻防。

普段特にこう言った事にはとことん無関心なシゲが、なんで今日に限ってこんなにこだわって来るのか。

何となく分かっていて。

それがもう恐ろしく嫌だった。


本能だ。

これは多分雄の本能だ。


としかもう説明が付かなくて。

ヤバいヤバイ。2センチ3センチ、力負けして広がって行く隙間。

とその時、後ろで窓の空く音。

「ーーーー−!!!!!!」

絶体絶命と思った竜也の後ろから伸びた男の腕が、

どんっ!と竜也に加勢してあっと言う間に、劣勢だったドアの隙間を埋めたのだった。

そしてさっさとドアにカギを駆け、前をカラーボックスで塞ぎ、竜也に窓のカギを閉める様に指示をする。

「うおっ何や?タツボン?」

部屋の前で聞こえるシゲの声。

「し、シゲさん、もう…下で出て来るのまとうよ」

そして仕方なく迎えに来た風祭の声。

外の通りから真理子が竜也の部屋を確認しているのが見えて、コレが彼女の計らいだった事を知るが…

「全く、母さんめ…。あんなに誰も入れるなって行ったのに」とつい口をついていた。





「で、どうなったって?」

振り向けば、既に勝手知ったるとばかりに竜也の机の椅子に腰かけて、ニヤニヤとこちらを見て来る三上の姿。

「メールじゃ偉い事みたいになってたけど?」

とやはり竜也の体を上から下まで眺めながら…そこで、

笑いが消える。

「マジで?」

と気まずいのか、照れているのか、不機嫌顔で突っ立っている竜也の手を引いて、自分の前へと立たせれば。

メンズ物のシャツの上からでもはっきり見える胸の起伏に目を凝らす。

「本物?」

エロとか何とかを通り越して、それはもう一般中学男子の余りにも素直な反応に、竜也の方が居ても立ってもいられなくなる。

「あんま見るなよ…変態。」

「そりゃオメ−だろ。」

あ…やべ。

その声にかっと頬を染めて亮を睨んだ竜也に思わず冷や汗。

『今は洒落になんねーんだった。』

「冗談、冗談。」

そ−言って引き寄せようとした亮の手を振りほどいて、フイッとベットへと腰掛ける。

「・・・・・。」

むっとしながらも黙ってその様子を伺う事にした亮。

「・・こ−言う訳だから、暫くは出来ないからな。」


「は?」

あ?おいふざけるなよ。せっかくむしろ、さあできますって体になったつーのに何言ってんだ?こいつ?


「避妊すりゃいいじゃん。」

「…嫌なんだよ。俺が。俺じゃないままでそんな事するの…」

半分噛み付く様に照れてそう言う竜也に三上唖然。

『絶対無理。』思いながら。

「ふ〜〜ん。ま、んならいーけどよ。それでも。」

素直にそう言った三上に苦く笑った竜也が「…ごめん。」と小さく呟いた。

『んな顔されてもね』
ぜってー喰ってやる!

「・・・・つーかよ。」

「何?」

「一個聞いていい?」

「何?」

真面目な顔で自分を見た三上に竜也が少しづつ機嫌を直して答える。

「便所、どっち入ってんの?」

詰まる所付いてるのか。付いて無いのか。

!!

一瞬、酸欠の金魚みたいな顔した竜也だったが…暫くして

「男子…」と。

しかし三上もそれ以上は「それって個室?」とは聞けずに、

結局どっちなんだよ!と失礼にも、勝手な煩悶に苦しむのだった。

「ふ〜ん。で、何でんな事になっちまったんだ?」

会話を続けながら椅子を立ってベットに座った竜也の隣へと移動する。

相手が危惧を抱かない距離間をちゃんと計算して、ごく自然に隣へと座った。

近くによると確かに少年のなごりも残しているが、女の子特有の、甘い肌の香がした。

まじかよ…。何度見てもまだ馴れない。まじかで見ても竜也には変わり無かったが…。

「さあ、朝起きたら。…でも変な夢見たから…ひょっとしたら。」

「夢?」

そこまで言いかけたものの。基本的に、(不破まで行かないが、)三上も理屈で説明出来ない物は嫌いな方なのを思い出して、言葉を切りながら、

「や…突然だよ。何が起こったのか俺にも判らない。」

「そりゃ…めんどーになっちまったな。」

目蓋を伏せながらそう言った亮を竜也が見て、親身になって貰えたのが嬉しかったのか、ちょっと困った様に笑って居た。


「なあ」

「何?」

「見てもいい?」

真顔で顔を上げた三上に凍る竜也。

「え?」

まさかこいつ、今までのは全部この為に…じゃ無いだろうな…。

脳裏をよぎりつつも。

強張った竜也の顔を見て亮がくっと笑う。

「ヤらねーよ。」約束してんだろ。(と嘘ぶく)

…半信半疑で、眉を寄せて居た竜也だったが。

「あんまり、触るなよ。」と言って視線をそらしたのだった。


言葉と一緒にのしかかって来た三上を、まあ、受け止める。

背中が布団に投げ出されるて、自分を押し倒す三上の顔が上に見えると、

初めてでも無いのに何故か緊張が走った。

寝かした竜也の傍らに座り、手の甲で鎖骨から胸の谷間をすっとなぞって行き…

同時に視線が降りて行く。顔から胸へ胸から…なめる様にとは言わないが、それなりに卑猥だ。

かたくなっているのを見すかされたのか、強張って居た肩を軽く掴んで、ふっと三上が笑う。

…優位に立っているが皮肉な笑みでは無かった事に多少、安心する。

そうして息を殺してそれを見て居た竜也に口付けた。

一度だけきちんとかわすと、またすっと離れて行く。

軽く胸の膨らみの上に置かれた手に、思わず自分の手を出しそうになるのをぐっとこらえて…

「胸どん位?」

「知るかよ…」

何か…エロビみたいだ…なんて思いながら…耐えておく。


しかし、


そのままTシャツの一番下までさがって来た腕が突然、止まった。

「三上?」

目線をくれれば、黙って竜也の上に置かれた自分の手を見ている三上の横顔。

嫌な予感がして…

「三上・・・。」

名を呼んだ自分に振り返った彼と目があった瞬間に、

裾の隙間に浅く指を差し入れながら、「見ていい?」

「〜〜〜〜!!」

何か言おうと頭を起こしかけた竜也だったが…かなり真面目な顔でほんの少し頬を染めてる三上の顔を見た瞬間、「ノー」とは言いそびれ、

自分も赤くなりながら再びぼすっと頭を布団に埋めたのだった。

それを見た三上は秘かに含み笑い。

幾分大きめだったシャツをゆっくりとめくり上げると、中に視線を落として入った。

布団に付いてる方の三上の腕を竜也の指がきつく縋り付いて居た。





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時間が無くて全部出せませんでした;続いてもうた;;
竜也…何でこんな奴と付き合ってるんだ・・・。




























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