+ブラザーa+
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再婚した母の姓が、三上に変わって3ヶ月。
義理の兄貴となった彼は相変わらず家には寄り付かず。今日も時計の針は日付けを替えようとして居た。
さっさと2階へ引き上げて行った新婚の両親の後ろ姿を見ながら運悪く隣り合わせてしまった自分の部屋には帰る気になれず、
居間で、ちっともすすまない残りの課題と向き合っているのだった。
他人と親しくする自分の母親をみると言うのは妙な気分だ。
同居生活が始まって2ヶ月程。
別にコレと言って義父となった彼が嫌いな訳じゃ無い。
水野の姓を残したいと言った自分にも、母より先に理解を示したし。
それはもちろん嫌味な意味ではなく、
『親は君が選べばいい事だし。君とは、良い友達になりたいと思ってるんだ』
と言う彼の配慮の結果だった。
が
やはり
『本当は納得してなんか居ない…』
言ってしまうと、すっと胸に染み込むその言葉。
親切ぶって、なのにどこか皮一枚向こうは、ドロ付いている気がしてならないのだ。どーせあと数年の我慢だし…
思いながら
ムカ付くのは、きっと
彼が母に向ける愛情だけは確かだと、どこかで感じていたからかも知れない。
まあ…いい。本人達がそれで良いなら、俺は卒業までの…
と、その時。
二階で大きな物音…
「なっ…」2回、ドスンと鈍く響いて音は止んだ…
行くべきか…どうか
思うより先に階段を登って居た。
居間の上だから、左へ二つ目の部屋。
まさか、何かあったとは思わないのに、
もしかしたら、という気持ちで足音を忍ばせて。
戸に手をかけた瞬間、その時、どうして今まで自分が下に居たのかと言う理由を忘れてしまったのか、
思い出したのは、ノブにかけた手がわずか十センチ、開いた瞬間だった。
耳をつんざきそうな、真理子の…声。
中指の先から、痺れが走った様にそのまま動けなかった。暗い部屋の隙間から流れて来る、湿った部屋の匂いと、甘ったるい…吐息。
全ては見えなかった。ただ荒い息の音を立ててベットの上へと崩れおちる2つの影と
その拍子に、真直ぐと一筋を照らす廊下の明りに映ったのは。
真理子の白肌と、ベットの柵に縛り付けられた細い手首。
そして、自分の足元近くまで転がって来て居た。サイドランプと、置き時計…
音を立てない様にドアを閉めるのが、やっとだった…ノブから外そうとする手が震えて、中々離れない
目の下まで頬が熱いのを感じて居た。
ドクドクと喉の奥で鳴り響く鼓動とは裏腹に、頭の中はどんどん冷えて行く感触。
何と言えば良いのか、
怒りとしかつかない
それは…
その時、呆然とする自分の横に、人影がある事すら気付かなかったのだ。
「何してんの?」
文字通り、心臓が止りそうな衝撃だった。思わず飛び出そうになった声を慌てて飲込めば…
そこには、義兄、亮の姿。
まっ蒼になって行く竜也の顏を見ながら、薄く笑って居た。「あんたはあっちだろ?」
と嘲笑まじりに、自分達の部屋の方を親指で指し示す。
ーーーーー。「…っに…」
かっとなって顔を反らしながら脇を通り過ぎようとするが、
その腕を掴まれた。
いつもの彼なら…
やるだろうと、思っていたけど。
生憎、自分にはそんな余裕も無くて
それを振り払うと。一気に風呂場へと走ったはずが…
ほんの一瞬後の事
ずれていた廊下のマットに躓き、亮が追い付く前に、廊下にビタンっとド派手な音を立ててぶざまに…伸びて居た。
後ろに居た亮まで、いつもの様に笑うのも忘れて、唖然。
うつ伏せになったまま中々起き上がろうとしない彼の横にしゃがみ覗いてみれば…
当然しっかり起きてるものの。眉を寄せて、赤い顔したまま。
決して起き上がろうとはしなかった。
何故母を見てしまったのだろう
知っていたのに
知っていたのに…
まるで悪夢が脳裏に焼き付いて離れなかった。
…俺の母さんに。
そして何よりも、その母さんに……じた自分。
「おいモップ。」
突然上から振って来た、声。「どーでもいいけどよ、」
早く起きろと、視線で言われる。
彼は、何時だって容赦が無い。
他人の頃のが、まだマシだった位。最近は、気も使わなければ、殆ど暴君さながらだと言うのに
ナイーブなんて誰が言った事やら。
2年と言う歳月が、どう彼を変えたのかは知らないけど。今や懐かしい響きとなって居た。
「いいから、」
見上げた三上は、憮然としたまま真面目な顔。
無言で起き上がり擦れた頬を拭う竜也を、やはり無言で見て居た。
そして、
彼が膝を立てようとする前、一瞬の空きを付いて、パジャマだったズボンの中へとその右手滑り込ましたのだった。
それからちらっと、ドアの方を伺う仕草。
ビクリっとしながら、俯く竜也。カッと上がった体温も、最近じゃこんな冷や汗にも慣れっこで
黙ってなすがままになって居た。
「あんたはこっちだろう…」「何か縮んでねぇ?」打ったせーじゃねーの?と
くっと吐息と一緒に笑う声。
既に一度萎えてしまった自身に、ヒヤリと触れる冷たい手に身震いしながら。「いい加減ママっ子離れしてくんねぇと、俺があいつに負けんだろーが…」
と、後ろから抱き寄せる腕に大人しく納まって居た。
「…わざとやってんだよ。」あんたの隣の部屋で。
耳もとで響く声。
「どっちが味方だか、間違えてねーだろうな」意味深に含んで…
驚いた顔で振り向いた竜也に唇の端を上げた。
何故今日に限って、クラブすら閉まらない時間に家に帰ろうなどと思ったのか、ドアを開けて見れば吹き抜けの2階通路の上、見れば。
まんまと誘き寄せられた、誰かさんの後ろ姿。
チョロイなんて物じゃ無い。
あいつはアホか?
「あんたが水野で居る限り。ここが三上さん家だって事を胆に命じておくんだな…」それは静かな予兆だった。
あいつはな、自分に屈服しねー奴を野放しにさせておく気なんて、毛頭ねーんだよ。
硬くなって行く竜也に食い込む爪。「…・・っぅ…・・」
彼の苛立ちが、誰に向けられて居たのか
霞む頭がようやく理解を終えた頃。
「俺は逃げ切ってやる。俺のもんにも手出しはさせねー」
後ろで聞こえた三上の声と一緒に、歪む視界の端に彼のドアが開くのを見て居た。
次の日の事。
「竜也君」「あ、お早うございます。」
いつもと変わらぬ顔で義父と顔を合わせた洗面所。
「お早う、」
珍しく隣へ来て、眼鏡を外せば、さすが親子とは思わずには居られない。
それは見事に亮と同じ顔。
「昨日の事…」一瞬凍り付いた竜也が、歯ブラシを持ったまま隣を向けば
ゆっくりと頬の形状を変えた顔が、ニヒルに微笑んで居た。
それから、呆気に取られる竜也の顎が取られたのは、一瞬の事だった。
「ーーー…・っ!」
吸い出されて居た舌に鋭い衝撃が走ってはっとして彼を両手で付き離した時には
口の中には、にじみ出る…鉄の味。
「真理子さんには内緒にしておくから。」
「アレが何を言ったか知らないけど。僕は君の事は結構気に入ってるんだよ…」あまり大人を怒らせない様、あの子に宜しく頼むよ…
まるで見下す様に自分を仰ぐと、薄く笑ってそこを去って行く後ろ姿を、竜也は動けないまま、見送って居た。
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とても読みにくくなってしまいました;ブラザーとは舞台だけ一緒で話しは繋がってないので、読まなくても大丈夫。
意味が判らないのは駄文のせいです。すいません;
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