・
LOVE COMPLEX
設定は曖昧。ノリで読んで下さい。オリキャラが出ばってしまいました…。
笛の森ではなくどっかの森(^^;)と言うコドで…。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−-−−−−−−
・
「転入生?こんな時期に?」ヘ−−−−。
「何でもサッカー部の監督が強引に引っ張ったんだとか…」
そんなすげー奴なんだ。
さあ、俺は聞いた事ねー名前だったけど。
「息子だって噂も有るぜ。」
西日の差し込む放課後の廊下、
狭い全寮制の男子校。この手のうわさが広がるのにそう時間はかからなかった。
「それじゃあ、あの人はどーなるんだ?」
「そりゃ・・」しっー!。
渦中の男の存在に、たまたま話をしていた1年坊が静まり返る。
・・・・・・。
「ヒデー話だな。」
「ああ全くな。同情するよ。」
その背中が廊下の角を曲がるのを見送ってから、また口を割る。
『その上、あいつの世話係まで言い付けられて・・』
『あんな屈辱ないよな・・・。』
彼等の秘そめた声が耳に届いても彼はもう振り返ろうとは思わず。
最近何処へ行っても囁かれるうっとおしいその噂を、三上はまるで他人事のように感じていた。
憐憫や哀れみや、悪意や好意の混ざったその視線達にももはや慣れっこで、勝手に諦め切った周囲の迷惑な慰めには。
もうんざりしていた。
今日もまた努めて平静なまま、その長い廊下を歩く。
・
少なくてもその顔を拝むまでは。
・
・
「それじゃあ、後は頼んだぞ三上」
「はい。」
「取りあえず寮の決まりと、簡単な日程の説明から…」
「ええ、判ってます。」
「そうだな、じゃあ水野、また明日。」
「どうも。」
転入初日だと言うのに、ひどい無愛想。前に試合であった時もこんなんだったけ?
ま、どーでもいいけどよ。
思った通り・・・。
いけ好かねえツラ。
パタパタと遠くなって行く教員の足音を確認してから。
「で?何でテメ−がここにいんだよ?」「…文句なら、親父に言えよ。」
「それとも俺にポジション取られるのが、そんなに心配?」
怒ったかと思えば今度は、わざと嫌味に挑発して来る。
「ああっ!!?」
マジ気にくわねえ…こいつ!!!
ふん。っと暫く睨み合ってからお互いそっぽを向く。起床は5時、消灯は8時冬は30分ずれ込む。
半から朝練。朝食と夕食は7時から半まで。
「俺達監督生の部屋はこの突き当たり。何かあったら逐一連絡を。」
「・・・・他に質問は?」
「別に。」
「あっそ。」
ちらりと見た水野の横顔はツンとして。人の話を聞いているのかいないのか冷たく前を見据えていた。
「今の嘘だろ。」「はあ?」
「5時8時な訳ないだろ。」
「ウチは進学校何で〜」
「あーさっそくやってるよ三上の奴。」「監督も、なんで三上にあんなこと頼んじまうかね。」
「これも一つの試練ってやつだったりして?」
「んな事まで考える玉には見えねーけどな。」
確かに・・・。
一々微妙に真しやかな嘘で竜也をかまそうとする三上に。一々噛み付く竜也の姿。
「何か。情けねー・・・。」
「面白いからいいじゃん。」
影からデバガメ根岸と中西が楽しく見守る中。
「ここが自習室。」
「ここが2年の便所。」
『職員用って、微かに書いてあるけど?』
「それが何か?」
『何って……真面目にやれよ!』
けっこうハマっている水野だった。
「で、あそこのがこの寮の管理人。」
窓のすぐ下にいたジャージ姿の人を指す。
ちょうど彼もこちらの声に気付いて上を向く。
『どうも…って渋沢先輩!!!』
きっと睨む水野を尻目に、「おい。こいつお前のこと庭師のじーさんと間違えたんだぜー。」
とちくりをいれる。
『誰がっっ!!』
「まあ、水野……三上。全部聞こえてたぞ。」
監督に頼まれているんだろ?今日位ちゃんとやったらどうだ。
と説教が入る。
「へーへーんじゃ次行きますか」
とそそくさと退散。
窓外を振り返った水野が苦笑いの渋沢と顔を合わせてちょっと笑って居た。
「よーー三上。お疲れさん。」自室のベットにうっぷしていた所に。来客が来る。
辰巳に。中西に。
「どーだったよ?」
「あいつ、超ームカツク。」
「まー可愛い後輩って感じでは無かったな。」
「っは。ああそりゃあもういじめ殺したいね。」
「結構息あってたけどな、漫才は。ボケしかいなかったけど。」
中西にはふざけ半分で本気のグ−ー。
「・・・・。」
とーとー来ちまったな。
誰も声には出さなかったが、三上にはそんな空気が伝わって来る気がした。
あれから2週間。
ポジション変更はまだ無い。
だが三上に取ってはそれこそナメ革でじりじりと首を絞められているような気分だった。
今は一群控えにいる竜也が、今度の大会の登録リストに乗るのは誰の目にも間違いなかった。
今なら桐原監督が内紛を危惧して水野に自分を付けたんだとわかる。
見張られてるのは俺の方ってか?
フン。まったく御大層な坊ちゃんだぜ。
「やってられっかよ。」
次の日の午後。たまたま通りかかった2年の階段で上の方から人の言い争うような口調が聞こえる。
また通路塞ぎやがってと登って行くと、見た事有る数人の後ろ姿が見えて来た。
2群の連中だ。
連中に囲まれているのは。やっぱりと思った通り。
水野竜也だった。
「おい。」
「あ…三上先輩…。」
一人の声に反応して、3人供がこちらをばっと振り向く。
そして気まずそうに何か言おうと言い訳を探していた。
「とばっちりが俺にくんの。わかっててやってんだろうなあ〜?」
「いえ。…すいません。」
「でも。ちっとこれ。俺らの問題何で。」
「・・・ふ〜〜ん。」
まあこんな誰もが通るような場所でんなバカな事やるやつはいねーだろーし。
そのメンツを見る限り大事ではなさそうだったので。
放っておく事にした。
第一。下のモメゴトに首突っ込むような真似
頼まれでもしない限り死んでもやらなかったっつーの。
クソじじいめ。
あの性格はともかく。それ以上にその異質な転入劇のせいもあってか水野竜也を巡った悶着が、2年の中でも色々と起きていたらしかった。
ま、あれだけ協調性に欠けてりゃな。
何が起こっても不思議じゃねーと思うけど。
その日。「気分じゃねー」と2年の見回りを近藤に押し付けて、自分はさっさとシャワーを浴び。寝床に入ろうとしていた。その時。
「おい。三上ちっと!」
血相を抱えて飛び込んで来た近藤にあんだよと声だけで返事をする。
「もめてんだよ。娯楽室で。」
「ああん?その内おさまんだろ?」
「そーはいくかよ。」と言いながら三上の布団を剥がしにかかる。
「何びびってんだか。ったくよ〜情けねえ〜な。」
「おまえなあ、それ頭から血ーたらしてんのが水野だって知っても言えるか?」
「ああーー!?」何だと?
「三上。」「あ〜?」
朝から藤代でさえ声をかけるのをためらったと言う今日の三上。
頬に微かな引っ掻き傷を負った顔で声をかけただけの渋沢までも睨み付ける。
「…その…何かあったのか?」
やけに大人しい2群の面々を斜目に見ながら恐る恐る聞いてみるが・・・・。
「別に。」
「そうか・・・。」
額にデカ目のバンドエード姿の水野をちらっと見て。
何か有ったのは確実なものの。
思ったよりよくやっている当の三上がそう言うのならと。
それ以上は彼も聞いてこなかった。
「藤代。」
「何すかーキャプテン!」
「水野はどんな様子だ?」
「さあ、俺クラス違うっすからねー……でもまー普通じゃ無いすか?特に噂も聞かないし。」
「そうか。」
「笠井?」
もう一人を呼んでみる。
「はい。」
「ああ、俺もクラス違うんですけど。」
「けど、佐々木や大原達とは仲悪いみたいですよ。あいつら三上先輩のこと殆ど崇拝してましたから…。」
「崇拝?」笑顔の強張る渋沢。
「はい。何か尊敬って言うか、好き様が凄いから。」
「そ、そうか…」
う〜〜ん。佐々木と言えば、天野や三上とは正反対の目立たない真面目な生徒だ。たまに何を考えてるか判らない事もあるが…。
どちらかと言えば水野と気が会いそうな気がしたのだが…と。
放課後の部室。たまたま丁度よく帳簿の整理の手伝いをコーチに頼まれて、残って居た佐々木にそれとなく切り出してみる。「水野は…あんまり問題児ってタイプには見えないんだが。」
「はあ…。」
「最近もめてるって噂を聞いてな。お前が同じクラスなのを思い出したんだ。」
「・・・・。昨日の騒ぎのことですか?」
「ああ。」
彼は帳簿に目線を落としたまま静かな口調でそう言った。
苦笑いの渋沢。
「・・・あいつ。いえ。水野は思った事をはっきり言い過ぎなんですよ。人の勘に触るような言い方わざと選んで言って来るんです。」
ただでさえポットでの1群控え。しかも無名。
ただでさえ転入生。
そしてあからさまに贔屓を隠さない監督のやり方の問題。
「嫌な奴です。」
これは思ったより隔たりは大きいかもしれない。と渋沢はその時思った。
「けど、怪我には気を付けろよ。」
そう言うとふと佐々木が顔を上げた。
「あれは、大原と掴み合いになった時に…たまたま上から救急箱が落ちて来て。」
誰も悪く無いですよ。近藤先輩がこなければ何も起きなかったんです。
「そうか……困ったな・・。」
困った。そう言った渋沢の方をちらりと佐々木が見る。
それは言外に自分の主張を否定されたも同然。
「キャプテン…。何でそんなに気にするんです?そうやって周りが水野を庇護するような態度が。皆の気を逆立ててるんだと思います…。彼の何が特別だって言うんですか?」
--よくないですよ。彼に取っても俺達に取っても。---
「そうだな…。」だが。一度こうなってしまっては、もう野放しでは治まりまい。と考える。
佐々木、お前ならどうだ?
えっ?
「お前なら、皆の誤解を解けるんじゃないか?」
「誤解?…ですか。」
「ああ。水野と上手くやってくれないか?」
だからそれが…!!
と彼は言いかけたのを喉の所でぐっと堪えた。
差し込んできた夕焼けのオレンジ色の逆光が、彼の表情を覆い隠す。
「いいですけど。上手くいくかはわかりませんよ。あいつの性格じゃ。」
「お前なら、大丈夫だよ。」
そう言ってポンと肩を叩くと、
彼は一度うなずいたが、やっぱり困ったように苦い笑いだった。
実際の所、気に食わない本当の理由は、性格の不一致に会ったのだが。血の気の多い連中と同じに見られるのもどうかと思って居た所で。
これで上連中からの株が上がるなら安い物だと彼は引き受けたのだった。
ボンの一人や二人…。
「ここ、いいか?」クラス分けされたテーブルの中、誰と話す事も無く黙々と食事を取る水野。
声をかけると驚いた様に自分の顔を見上げて来た。
「いいけど。」
フイットまた前を向く。
「昨日は、悪かったな」
「ど−言う風の吹き回しだ?」
「そう根に持つなよ。」
「全く。・・・俺が何したって言うんだ?。言いたい事があれば面と向かって言えばいい物を。」
それは、佐々木では無く。彼を遠巻きに眺めるクラスメート達に向けられた物だった。
口調は冷静を装っているのに、隠しきれない怒りを露にする竜也をただ冷静に見つめる。
「まあ落ち着けよ。大概のやつは君と上手くやりたいって思ってるさ。ただ…日常を掻き回されるのに戸惑ってるだけだよ。」
スプーンを口に運びながら水野が顔をあげる。
「どーだか。」
「何人か転入生もいたけど。君みたいなケースは初めてだからね。」
大丈夫。監督のやり方に驚かされるのはいつものことだから。その内皆水野の存在にも馴れるさ。
「だといいけどな。」
そう言った水野の目線の先には、昨日のおとがめを受けたのは自分だけだったと怒鳴り散らす大原の姿が会った。
「ま…大丈夫だろ。どう転んだって監督が君の悪い様には計らわないさ。」
「俺はそれが不満だ。」
「取りあえず、…よろしく。」
パンをちぎりながらそう言った佐々木を水野は黙って見ていたが。無言のまま返事は無かった。
さっさと夕食をすませると1人サッカー部寮へと帰ろうと。釈然としない物を感じながら渡り廊下を歩く。
どーせまた誰かが手筈を回したんだろうと思った。
ここに来てから、自由が無い。
本当にそれを痛感する。
人間関係一つ一つまで管理されてるうっとおしさががつきまとう。
イライラする…。
全く。坊ちゃん坊ちゃんの集まりはどっちだか…。
こんな所鼻っから興味なんて無かったのに。
まさか母さんまでが…あんなやつ(親父)の味方するなんて・・。
今さらながら悔しさが込み上げる。
その時、後ろから来た人の気配が、竜也の横を通り過ぎるかと思いきや、背中にドンっとぶつかった。
それが肘鉄だと知った時には。体が前飲めりに一歩吹っ飛ぶ。
「ああわりぃー。」聞き覚えのある声。
振り向けば、大原だ…。
「何か用かよ。」睨み返すと。
「別に−。だから謝っただろーがよ?」と肩を窄めてみせる。
彼はそう言って竜也の顔を見ると、ニヤ付きながら階段の方へと通り過ぎて行った。
・・・・。
再び不愉快全開になりながら、竜也がその階段の角をまがった時。
頭の後ろに鈍痛が走った。
前には確かに誰も居なかったのに。
NEXT TOP
SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 花 | 無料ホームページ ライブチャット ブログ | |