aライブ
真っ黒です…(−−;
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「じゃあ、気を付けてね、」送りだされて、待ち合わせた十字路までやや急ぎ足で駆けて行く。
「よお、水野ー!」「よお、」
待っていたクラスメートとおちあって、今日はライヴの日。
本当は、今日誰かさんとの約束の日でもあったけど、
とり損ねたチケットが人伝に回って来て、迷う事無くこっちを選んでしまった…竜也だった。
本当は正直に話しても良かったけど
誰と行くんだとか、どこのライブだとか、そんなバンドは知らないだとか…
気分で質問を変えるあいつとまた七面倒臭くなるのが嫌で、
今日は、家族と入院した親戚の見舞い。と言う事になっていた。
クラスの極親しい友人と最近気に入っている、某外人バンドの初来日。今日を見ないでファンとは言えまい。
やっぱり狭いせいか、この会館独特のこの臨場感はいつ来てもいいと思う。
久しぶりに、学校やら部活やら、あいつの事やらを忘れて純粋に遊べる今日に
いやがおにも期待は高かった。
それは席に付いて暫くたった時の事。
遅れて入場して来た隣の席の連中が、どうも落ち着かない。
「なあ、お前らちっと先いってて、」「何お前、便所?」
「買いもん、」
「何?水フーセン?」(ゴムの事よ…)
「つーか、あいつは?あいつ西館の方行ったきりじゃね〜の?…」
「知るかよ、っせーな。前向けや、前ぇーー」
煩いなあ…それは自分達と同じくらいの少年達で、
開演5分前になってもまだ何やらもめていた。
嫌な事に竜也がちょうど彼等側のはしっこで…
時々、肘や荷物がぶつかる。
「・・・・。」
初めは我慢していた彼だったが、ついに、そちらを振り向いた瞬間、
運悪く連中の1人と目があう。
自分とは嫌って程対照的な、ギャル男系。
あからさまに、「なんだてめぇ?」と言う険悪な空気で、竜也を見返す1人。
それにむっとした竜也の顔が険しくなりそうになった時、隣から軽く肘でつつかれた。
振り向けば、隣の尾田の姿。
彼は、サッカー部が分裂したての頃、陸部の副部長と言う肩書きを押して手伝いにきてくれた、頼れる友人の1人。
「放っとけ」と顔でいわれて、
横の方で、何やら、自分を振り返ってぼそぼそ言っている奴らを視界に納めながら…
溜め息と一緒に前を向き直る竜也。
所が、開演の合図と一緒に。一つ開いていた隣の席へ、自分の右肩すれすれに後ろから飛び込んで来た影。さっき連中が言っていた連れの1人に間違い無かった。
暗くなったのを易い事に、思いきり眉を顰めた竜也の耳に飛び込んで来たのは…「よおフーセン三上、」
「ああ?ざけんな」
「あーうっせーはじまんだロ、まえぇーー」
「お前がうるせーっ」
唖然とする竜也の横顔に、かっと白色灯の閃光が光ると同時に爆発音が耳をつんざいた。
赤と黒と白銀のライトの中で、隣に竜也が見た物は。
「んじゃー、俺は部屋でごろごろしてっから、ああ、また来週な…」
と言ってたハズの、三上の横顔。
「・・・・。」実は、結構なグラムロックで有名なこのバンドを聞いてる事は、彼にも、部活の仲間にも秘密にしていた竜也。
固まりながら、気ずかれない内にステージへと姿勢を戻しながら、
総立ちになって盛り上がる会場の中、ただ独り生きた心地がしないでいた。
さっきから「前前」言ってた向こうの1人は、かなりのファンらしく、彼が周りに「立て」とちょっかいを出す度に隣のあいつと腕がぶつかった。
その度、ボーカルの声が耳から消えて腹のそこに響く超低音のベースが、ただでかいだけの濁音に変わる。
全く、何て言う連中と付き合ってるんだか…
否、こいつがこのバンドを好きだなんて、聞いた事もないぞ。ていうか…なんでこんなことに…
叫びたい気持ちで祈る事30分。中盤のクライマックスに突入して、一気に変わった曲調に、会場中が真っ赤にライトアップされて浮かび上がった。
その時
どうして…
こんんな所まで似てしまうのか?
と言う程絶妙なタイミングで、横目で様子を伺った竜也と同時に、向こうもこちらに振り向いたのだった。
丸くなった目が竜也を見て、しだいに眉間に皺が寄るのが判った。口を開いたけど、何を言ってるのかは聞こえなかった。
気まずい顔で、だが、仕方なく三上を見返す竜也。
そして不味い事に気付く…
何故なら彼の視線は竜也の隣にいる尾田に飛んでいたのだ。
しかももっと不味い事に、その緊迫に気付いたのか、尾田までこちらを振り返っていた。そして何故か自分を睨む三上に怪訝な顔をする。
「ど−言うことだよ。」ゆっくりと視線をずらしてなんとも言えない顔で自分の事を見ている竜也と向き合う。
だが、聞こえるわけもなく、
ほんの少し腕を引っ張って耳元に顔を寄せた瞬間、
何もしらない尾田が驚いて、竜也を反対側から引っ張った。
「ああん?」
ただでさえ、苛ついていた時に。
自分から竜也を引き剥がされた三上が思いっきり怒調を露にして顔を上げ、尾田を睨んだ。
それを受けて、尾田も三上を見る目が険しくなる。
不味い。
思いながら、もうライブ所では無くなっていた。ぴんと張り詰めた糸の中、
まず尾田を判らせようと向こうを向いていた竜也を見た三上が、ふっと顔を歪めて笑うと、
一切強い力で彼を引き寄せ、そのまま口を塞いだ。
「ーーーっ…」
驚いたのは、三上の連れも一緒。
愕然とする尾田の前で喉元を仰け反らして舌を吸われる竜也。
やめさせようと手を伸ばす前に、ぐっと向こうへ引き寄せられて、彼の呼吸を奪ったまま、自分へと視線をくれながらそいつは笑っていた。
「何のつもりだ!かえせよっ」
鳴り響くビートに掻き消される声、ただ必死に叫ぶ尾田の顔がそう言っていた。
暴れようとする竜也は三上の手中に押さえ込まれ、助けようとする尾田をいつの間にか後ろに回っていた連中が、がっしりと押さえ込んでいた。
ガタイはいい方の運動部員だったが、3人掛りには適わない…
「水野!」
彼がそう届かぬ声で叫んだ瞬間。
やっと唇を離された竜也の服の中に、三上の手が入り込んでいた。
目の前に入る尾田の顔をそうだと認識する前に、
「っーーー!」
突然自分のズボンの中に入り込んで来た三上の腕を慌てて服の上から押さえるが、
間に合わず。
ビリっと爪を剥がされた様な甲高い激痛が下から走った。
そして後から、ヒヤリとした彼の手の感触。
「ぁ…・・っ…・」
容易くもれる声。
「ちょっ…・・かみっ!!」
じわじわと下から襲って来る痛みに目の前がチカチカと揺らぐ。
ーーーっぅ…!
同時に胸へと回った左手に、突起を掴まれて、
再びガクンと前のめりに跳ねそうになる躰。
何考えてるんだ!
と何とか顔を上げたその時、目の前で、彼等に抗うのを辞め唖然と言う顔で竜也を見ている尾田に気がついた…のだ。
そして…ズボンを膝まで下げられたまま、トランクスの中に手をつっ込まれている自分の姿にやっと気がついて、
青くなる。
だが、問題はそんな事ではなかった。
ああ、明日から俺はもう二度とこつと顔を合わせられる気がしない…と
俯いたそこには、
トランクスの裾から確かに自分の足を伝って落ちて行く白い体液。
会場中の爆音が止まった。
痛みばかりに気をとられて、
こうされれば、こなると、余りにも当り前の日常に馴れ過ぎて忘れていた弊害。
ポタポタと床に落ちて行く自分の精液を凍ったように眺めていた。
同時に尾田を押さえ付けていた彼等の手がすっと離れて行き、まるでそこだけ色を失った様に、二人と、三上だけが立ち尽くしていた。
今だ三上の手の中で熱を帯びる自分を感じながら
顔を覆いたい程の差恥に目頭が熱くなって行く。
歪む視界を竜也が恐る恐る尾田にむけた瞬間、
!
彼はふいっと悔しそうに顔をそらして、突然人ごみをかき分けると、非常口へと駆け出して行った。
ーーー!
そして耳の後ろで声を上げて笑う三上を見上げる竜也へ、
「アンタ、よかったってよ…」
と。声は聞こえないのに、そう言い放った彼の声だけがはっきりと聞こえたのだった…
次の日尾田は学校にこなかった。
昨日アレから連れ込まれて、続きと犯されたトイレの個室の隣に、
彼が居たかどうかは竜也には判らない。
ただ、小さな泣き声が、失って行く意識の端に聞こえていた気がしていた。
数学の時間。今にも振り出しそうな灰色の空を見上げる。
重い雲の隙間から小さく覗いていた青空が、やがて風に塞がれて細くなって消えて行った。
校庭から流れて来る女子のダンスの洋楽に、ふと校庭に目を向ければ、
砂の上に幾重にも引かれた真新しい白いラインが彼を思い起こさせ、
微かな笑みが込み上げた。
潔白で真面目な彼が、まさかあんな所に付き合ってくれるとは…思っていたけど…
もうすぐ、雨が降る。
「お前も中々よかったよ…」
微かなつぶやきと共に静かに竜也の唇がそう型どった。
「なーータツボン、」
「ライヴいかへん?」放課後、後ろから自分を呼び止めたシゲに振り返る。
「趣味じゃない、」
「何や、俺の周り皆用事はいっても−てな、暇ならつきあいー!」
「ヒマな訳無いだろう、」
と再び前を向きながら、ひまわり見たいに笑う彼の笑顔を、よこからちらっと見ていた。
「お前じゃ、ダメだよ…」
「?」
「何?今なんかゆーた?」「なんでもない…」
ただそう言うと再び真直ぐと廊下を歩いて行った。
「何や、ほんまいいこちゃんなんやから…」と後ろでブ−たれるシゲに、静かに視線だけ、向けていた。
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こんなのタツヤじゃない。につきる話・・・ありえない(涙
尾田君は、2巻当たりに出て来る竜也の友達…多分尾田(死
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