淑女の条件
シゲがシゲじゃないです…(涙)ごめんなり
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今日は月に2回の校紀検査の一回目。

普段は忘れて生活していた面々も、今日ばかりはここが私立であった事を思い出す日。

ざわつきながらももう馴れた面々が、

自分の横を通り過ぎて行く校紀委員を大人しくまって居た。

都心の進学校と名を取るだけあって、今どき逆に校風は割と自由。

すれ違った教師が振り返る程じゃ無い限り、

一応、声はかけられるものの、目に余らなければその殆どは黙認され

スカートの丈や髪型で違反を取られる事はめったに無かった。

ゲームもタバコもバックの底に入ってチャックがしまっていれば、それはもう誰の知る所ではない。

だが…


名簿を持ちながらいつも通りの順路を辿るこのクラスの委員は、

お硬くて有名な水野竜也。


目上にも目下にも意にそわなければ、平然と意見し。

決まった規律を破る事はしんでも無い。筋金入りの…頑固優等生。

しかも言ってる事が的をついている為、中々言葉で逆らう事の出来ない相手に反感を買う事も多かったが、

周りの優等生間にはその姿勢が好かれていたし、秘かにその容姿のファンも多かった。

だが、本人は向けられる好意にも悪意にもとんと無頓着で、今日も男子生徒の内ポケットからタバコを引っ張りだしていた。

グレーのラルフに膝上12cmのスカート、そして紺のハイソと言う、ダサクも無いけどつつましい格好の女の子。


見知ったクラスメートだと言うのに竜也が通る度に、何処か改まる様に走る緊張。

「じゃあ、バック開けて下さい。」

とその落ち着いた声で淡々と催促されると、何も入ってなくても、

じりじりと意味も無い焦燥感に捕われてしまう程。

いくら可愛いくても、これはどんな男も嬉しくは無かった。


しかしその日。

竜也がちょうど窓際の最後列に差し掛かった時。


「なー藤村、今日あいとらん!?」


ーーー!

HR中の教室に元気良く響き渡ったその声に、全員が振り向いた。

「おー別にかまへんけど?」

「ほんま−!!」

と構いもせず、後ろのドアからつかつかと教室に侵入したその女子を、難無く相手にしたのは、廊下側最後尾の藤村成樹。

「ほな、今日買い物つきおーてくれへん?」

「買い物ー?…あー…ま、ええで。どーせ暇やったし。」

「ほな、おおきにv」

静まり返るクラスを他所に、高テンションで盛り上がる二人の声に、

顔を上げた竜也が一瞬にして眉を顰めた…


「吉田先輩。」


その短いスカートの誰かさんへと上がる厳しい声。そして、

「何や?」

と悪びれもせずこちらを向き直った、彼女へとつかつかと歩み寄って行った。

「ノリック悪いけど…」

シゲの席の少し前まで近付いてから、トーンを落とした声で話す。

ノリック。

吉田徳光は1コ上の先輩で。

小柄で愛嬌のある美人。竜也と同じサッカー部のマネージャーだった。

細みの足に有り余ったルーズを弛ませて、大きめのセーターの裾から覗かせた少ししか出ない指先で、

シゲの肩に軽くふれながら、

厳しい顔で近付いて来た竜也へとにっこりと微笑んだ。

ふわっと香る甘めの香水の匂い。

「何ぃ〜?」

「まだHR中なんで、」

「でもセンセ〜おらんやないか、」

「来る前にこっちの方、終らせたいんで、」

その言葉に、ちょっと眉を顰めながら竜也を見て、それからその後ろのクラスを見回すと、

「…何や、別に違反何て誰もおらんよ、藤村以外。」


「・・・・。」


その声に自分の後ろでどっと和むクラスの空気に、竜也がもっと不機嫌な顔になりながら。

「とにかく、邪魔ですから。」

「うわーー。藤村聞いたあ?先輩に向かって…」

言いながら、竜也に睨まれて語尾が消えて行き…「ほな、待っとるな〜v」と小声でシゲに笑うと

「タツボン顔こわいで」とドアの隙間から捨て台詞を残して去って行った。

し〜〜んとなった教室の中、


その悶着を面白そうに見て居たシゲがぷっと吹き出して。さらに場が凍る。

無表情の顔は平静を装っていたが、明らかに怒っている竜也の視線がゆっくりとシゲに向けられ、

そして、

「じゃ、藤村君は、後で残って下さい。」

と一言。

「すまへんけど、今度にしてくれへん?約束入っても〜たん」

と頭の後ろで腕を組みながら、竜也も見ずに適当に言葉をつくシゲを無視して、

そのまま教卓へと戻って居た。

「あらら…」

口では苦笑しながら、あからさまに自分をからかっているシゲの態度に眉間に血が溜まるのをぐっとこらえて、お陰ですっかり遅れを取った仕事を終える。

「な〜、また明日相手したるさかい。」

「私は今日、相手にして欲しいんだけど?」

「ほんまに!?」

と冗談めかしたシゲにもとり合わず。

次々に自分の横を通って帰って行くクラスメートを、恨めし気に見送るシゲにと

軽い咳払い。

拗ねた様に自分の前で椅子にふんぞるシゲに、竜也が差し出したのは1枚の白い紙。

「何やあ?」

「反省文。ここで書いて。終ったら帰って良いから。」

「なっ、アホらし。」

「決まりだから。」

そう言って名簿から顔を上げた竜也の顏を見たシゲが…フと止まる。


「何?」

「何やタツボンて、・・・ちょい眼鏡取って見てくれへん?」

ホンマ小姑やと…別に嫌いとまではいかないが、

同じクラスだったのに気付いたのもつい最近の上。

お互い…と言うか、竜也の方がシゲの様なクラスメートに近付く訳も無く。

サッカー部に途中入部だった自分に何かと口煩く言って来た、この鬼マネージャーを、

まじまじと見たのは実はコレが初めてで…

「何で?」

と嫌そうな顏をした彼女にもお構い無しに、そのフレームに手をのばせば、

結構な。

すばらしい下り目の美人が現れたのだ。

『こいつ、ただのガリ勉ちゃんやなかったんか!!?…・・』

「あんた…・」

あかん…モロ好みや。

自分の前で怪訝な顔をする竜也の事も忘れて、暫く見入っていた。

「シゲ?・・藤村君…?」

「お、おお。で何?ああ…コレな」

不審な顔で自分を見る竜也ににこっと笑うと、目の前の原稿用紙へとシャーペンを走らせにかかる。

何を思い付いたか、突然やる気を出した相手に憮然としながら、再び机に肩肘をつきながらその様子を見守った。

「なータツボン」

無視。

「タツボン?」

「・・・水野さん?」

「なに?」

とやっとこちらをちらっと向いた彼女に、ちょっと真面目な顔を上げて、

「髪、戻して来てやってもええで…」

「!?…」

「その代わり、あんたが俺とデートしてくれたらな、」

「そう、残念ね。」

即答。そして

「別に無理しなくても、向う半年のトイレ掃除が待ってるだけだから、」

冷ややかにそう言うと、自分の膝へ戻した目が追って居たのは、名簿では無く、名簿にはさんだ何かの雑誌。

「なっ…いややわ!」と言いかけた時、ふっとめくったページが見えた気がして、

そのまま気付かないふりして机に視線を戻しつつ、そっと覗き込めば、


「ーーーー!」


その雑誌に吃驚して顔を上げたシゲの気配にも、集中している竜也まだ気配に気付かない。

「タツボンそれ…」思わず漏れた声。何故ならそれは…


!!


はっとしてはじかれたように顔を上げた彼女が、シゲの顔を見て息を飲む。

そしてどう言い訳しようか口を開きかけ、そのまま真っ赤になって行く。

その気まずい空気に飲まれて、一瞬あっけに取られたシゲだったが、

「何や、タツボンかて見るんやな、意外とむっつりなんとちゃう?」

と一時遅れて、明るく笑い飛ばすも…

うろたえながら、ふいっと視線をそらしてしまった竜也は

唇をかんだまま、黙っていた。


「さっき、没収しただけ。」

「そか?」

俯いた顔が泣きそう?で

シゲの方が、ちょっと焦る。

「ほなそれ、後で俺にも貸してくれへん?」

迷った末に出た、彼なりの気遣いがちょっとずれてしまったのは

なんせそれが引退した有名AV女優のインディーズ時代の裏本、と言うお宝だったからで。

この場を切り抜けなければと思いつつ、どーしてもそっちに気が行ってしまった。

「…いいけど。」

渋々でたその返事にほっとして、

「おおきに〜vほな皆には黙っとくさかい。」

と、ついいつもの癖で出たふざけ文句に、言ってしまってからシゲは不味かったと、

恐る恐る正面を向けば、

多きく目を見開いた竜也が…愕然としながらシゲを見ていた。


あーもう、エロ本一個でこの騒ぎは…勘弁せや…思いながら、

その不安げに寄せられた眉や、染まったままの頬が何とも…扇情的で、

竜也とは別の意味でシゲまで一瞬固まってしまう。




まさか、こんな奴の前でこんな醜態曝すなんて。

読む気なんて無かったのに。

こんなもの、裸の男女が乗ってるだけで、顔なんて皆同じだと…

何の興味も無かったからこそ、何の警戒も無しに、

たまたま手持ちのそれをパラパラッとめくってしまった竜也は、

モザイク無しの局部挿入写真に止まっていた。

だが…それが、一体カラダの何なのかを理解したのは、

声を上げたシゲの自分を見る凄い顔を見てからで。


大ショック。


もうこの町にはいられない。(大袈裟にも)一瞬にして、そんなフレーズが頭をよぎった程。


しかも相手は、自分の事をあんまり良く思ってなさそうな不良…

皆に黙っておくなんて、言うぞ。と言ってるのと同じ。

体中に死刑台に立たされているような悪寒が走って、今、自分が彼と向き合ってる事すら忘れて。

もう気分はどん底。





「あー…タツボン?」

見る見る瞳にたまって行く薄い水の膜に焦りながら

「んなもう、誰だって見取るって。てかな、今さら誰が見ようがどーってこと…」

フォーローするものの、ふと悲しげに伏せられた視線に

少々むっとする。『何や?俺が何したゆうんや』

「タツボン、大体なぁ、俺が女の子泣かすようなマネする訳ないやろ!」

見くびってもらっては困る。しかし…言ってる傍からこぼれる大粒の涙に

「泣くなや!」

と慌てて両手をのばし、その頬を拭う。

そしてそのままその顔を自分へと向かせると、不安げな瞳が自分を見て居た。

それにふっと笑うと。

「タツボン、心配せんでも俺は何とも思ってへんから。それに一々誰かに言ったりもせーへんて。」

言い聞かせる様に静かに言う。

濡れて色を増した睫毛、それでもまだやや険しい視線を自分に送るその瞳に、吸い寄せられる様に近付くと、

そっと口付けた。


「…んっ

微かにもれる声

だが、

竜也は逃げなかった。

ノリックのコロンとはまた違う、鼻に付く甘い肌の匂いに酔う。

胸板を押し返して来る手にも構わず舌を絡め音をたてて吸い上げてから、放す。

「……」

息を継ぎ、きょとんとしながら、赤くなって自分を見返して来る竜也に


頭の真ん中で、ぷつんとブレーカーの落ちる音。

立ち上がると机を足で横に下げて、そのまま向き合って前に座る竜也を抱きしめた。

「すまん、タツボン。」

「ちょまって…シ…」

後ろの席の机へと背中を載せられて、

上から自分を見下げるシゲの顔…

「・・・・・。」

それは見た事も無い真面目な顔で、思わず竜也も黙る。

「なあ?あんた俺のモンに…なってくれへん?」

だが言葉とは裏腹に、「なっ…!」

言いながら、スカートの中に潜り込んだ手を慌てて押さえるが…


「ーーーーーー!」

一時遅く、ももの間へ潜り込んで来た指に竜也の身体がびくりと跳ねる。

「タツボン、濡れとるで?」

「…やめ…・・ぁ」

軽く下着の上からなぞった指が、中へと…入って来る。

抗おうにも、濡れた肉の割れ目の中に冷たい彼の指を感じた瞬間、

「ぃや…だ…・・あぁっ!」

思わずもれる声。

くすんと鳴らす鼻にぬける声音。

薄ら開けた瞳で彼を見上げれば、真面目な顔が、竜也を見て微笑む。

同時に彼の指の中に合った濡れた突起をきゅっと挟まれて、

上がる悲鳴。

再び歪められた額にクスっと笑った吐息と優しい唇の感触

「あんた…かわええな。」

彼の匂いがした。

つぷっと中へと入って来た指は、無骨で硬い男の子のもの。

「タツボンって処女?」

ぐっとその感触にこらえながら、上がる息を押さえて、竜也はそれには答えない。

「狭いな…」

言いながら、額から鎖骨に駆けて唇が伝って行く。

きつい皮肉を分けて一切奥へ指が切り込んだ瞬間、シゲの身体の両はじに合った彼女の膝が、ぎゅっと彼を挟んで居た。

「ぁ…あぁ…う…・っ・・」

震える身体。

ほんの少し指が内壁を探るだけでぐちぐちと漏れて来る濡れた音に、上がる竜也の嗚咽に、嫌でも身体が熱くなって行く。

もう元には戻れなかった。

「タツボン、」

名を呼べば薄らと開く瞳、

「めっちゃ感じ取るやろ?…中、すっごいわ…」

涙をたたえる目尻に口つけると「ぁっ…」と小さな声が漏れた。

もう一度、舌を絡めてから、

「ほな、タツボン、…ええ?」

っ…・・っ…・」

2本に増えた指が動き出す。

「あ…・・あぁ・あっ…ああぁ…・ー」

卑猥な音と一緒に竜也の背が仰け反り、折られたお腹の上にあった名簿や本が音を立てて床へと落ちた。


指をそっと引き抜くと、

荒い息をつきながら、膜のはった様な瞳がもの言いたげにシゲへと向けられた。

止める気も無いけど、一応の確認。

「ほな、入れてええ?」

その問いには、それでも赤くなった竜也が躊躇したその時。


何の戸惑いも無く、がらっと開いた、教室の前の扉。


ここがまだ人気のアル学校だった事をすっかり忘れて居た二人が固まる。


「おい、おっせんだけ…ど…」

入って来たのはサッカー部の三上で…。

「・・・・・。」

二人を見るなり、目を丸くすると

「あ、わりィ。」

と言って戸をピシャと閉めて行った。



途端、真っ青になった竜也が、唖然とするシゲを押し上げて起き上がった。

「?お、おお?」

確かに、竜也と三上は部内で最も仲の悪い存在。

竜也が焦るのも無理は無かったが。

ま、壁の向うで聞き耳くらいは立ててるかも知れないが、そうバカな奴じゃないからと…

あまり気にして無いシゲの横で、

襟首のシャツを抑えながら竜也は本当に、真っ青。

「藤村君、髪の事は明日話すから。」

「い?え…あ、おお…」

「じゃあね、」

「ほなな。」

それだけ言うと、自分の荷物を急いで掻き集めて

おぼつかない足取りを何とか立て直して、彼の出て行った戸口から走って行った。





残されたシゲは唖然。としてそれから、ようやく意味を飲込む。

「あいつが…付き合っとたんか、」

けど、彼女の浮気(いやレイプに近いけど)を放って帰るような男。

いいとは思えない。

「ふ〜〜ん。」

再び椅子に腰かけながら1人、含み笑いを浮かべて思う。

「ほな、久々に、おもろくなりそうやな…」

「せやな〜」


「!」


突然、後ろから聞こえた声に振り向けば、

「ノリック…」

くっと笑いながら藤村に近付くと、ひょいと背伸びしてその口にかるく触れる。

「僕かて、負けへんで。」

そう言ってシゲににっこり笑うと、竜也の駆けて行った方を見て居た。

「あんな嬢ちゃんには、負けへん」

甘えて、自分にハグしてくるノリっクの背中を軽く抱きながら、

取りあえず、

それぞれの思いを胸に今は手を繋ぐ二人だった。






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アクマで三水で通してしまいました(ーー;)相手をシゲで…というリクを頂き、復活した女の子物だったんですが
ごめんナリ…;そしてこんなのシゲじゃ無い…分かってる。すいません;;

またいつか、ちゃんとシゲタツで書きたいなと…






























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