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one day
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/真夏の昼下がり
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ゴロンと床の上を寝返った拍子に、堅い何かに指をぶつけて目をあける。
灰皿か……。
他に何もする事ねーし。
久々に帰った実家は家族で旅行中。
クーラーも付けて無い西向きの部屋の体感温度は、もうとっくに45度を超えてるだろう。
喉の粘膜はくっ付くし、汗も枯れて皮膚の表面は塩っぽくざらざらしだした。
ああ、めんどくせーー。
けど死にそーー・・・。
ちょっと体を起こして窓を閉めて、数メートル先に転がってるクーラーのリモコンを拾い上げ、一番下のボタンを押せばあとは天国。
はい。終了。
はい完了。
寝ぼけた頭でシュミレーション。だが体はいっこうに動かない。
睡魔と戦いながらこっちとあっちを意識の中で行ったり来たり…。
それでも重たいまぶたをやっと開けると、このクソ熱い中すやすやと心地よく眠る水野の顔が目に入った。
・・・・・よく寝てるコト。
手を伸ばしてペちりとそのホオに触れるが起きる気配は無い。
じゅうたんの上にごろりと転がって、タオルケットにクルマってる姿はまるで大きな赤ん坊。
しんじらんねー。
ミイラになるぜ。
そばに散らばるさっきの行為の残骸も…カラカラに乾いてそうだった。
頬から首筋を滑って肩を手の平でなぞると、意外にも暑苦しそうな毛布の中の肌はヒヤリとしていた。
こりゃマジで半端じゃ無さそうだな。
体温を超える外気。
汗ばんで冷えた水野の肌に触れてると、奥に隠れた熱が徐々に伝わって来てやがて自分の手と区別が付かなくなる。
気持ちが良い。
そのまま腕をリロードさせて布を腰まで滑り落とすと、きっちりウエア型に焼けた生身の上半身が現れた。
あーあ……間抜け間抜け。
全く同じ跡が付いてる自分を棚に上げて、ガキ見て−と小さく言って笑ったが水野が起きる様子は無かった。
小麦色の肌と白い肌の境目をなぞる。こっからが普段のこいつ。こっからが俺の……。
胸の白さに自分の付けた赤い跡が点々と際立っていた。鎖骨を通って胸の真ん中に手の甲を滑らす。と、
ふと水野が薄目を開けた。
ゆっくりと自分の胸腹に視線を落とすと、自分の胸を勝手に上下する手首を掴み引き剥し、
「触わんなよ」と言わんばかりにコロンと上体をうつ伏せて、そしてまたくうと眠りに付いた。
・・・・・。
流れて顔にかかった髪を耳にかけてやっても、寝ている。
・・・・・。
鼻を摘んだ。
今度はすぐに手が伸びて来て三上の手を払ったが、目は開けず、顔ごと向こうを向いてしまった。
とうとう全否定の背中。
相変わらず西日は強くなる一方で白かった部屋の壁は、蛍白色に染まりはじめていたが。
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三上の眠気はすっかり醒めていた。
何気ない一コマの。幾度も会ったこ−言う場面で、
前から思っていた事がふと浮き出て来る。
・
もーちっとこう。どーにかなんねーのかよこいつ………。
付き合ってんだろーがよ。
身内には甘えたいし甘えられたい三上と、人に甘えると言う事に不器用な水野。
この違いが度々(三上の我慢が切れる時)おこるケンカの種だった。
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ゴロンと、水野の背中を眺めるのはやめて三上もうつ伏せに寝返った。
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死ぬ程暑い中。しぬ程Hして。
寝顔を見ながら、まどろむとは言えないような暑さの中で、幸だと感じていた時間が一気に醒めた気がした。
腹の底に徐々に冷たい物が溜って行くような感覚。
たるかった頭が現実にさらされて急に冴えて来る。
・
こいつは、俺がこいつを思う程、
俺のコト好きじゃねーんだろうな。
・
いつもいつも思って来たけど。ふと、素に戻る瞬間。
性格だとかを差し引いたって、相手のタメにゆずってる部分って、誰にでもあるだろーし。
大体そんなのは当たり前の事なのに。
気付けば…俺ばっかじゃねーか。
争いたくない相手だから……あんただから我慢してんだぜ?。わかってんのかよ。
・
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後ろで三上がどんな顔してるか位わかったが。
いかんせん眠い。
そして暑い。
今言い争うのも面倒だし。
謝るのも面倒で、…とにかくだるい。
つーか。クーラーつけろよ。と思いながら。
暑いと分かりながらも視線が痛くて丸まって寝ていた。
いつもだったら背中に軽いケリが入るか、手足がまわって来て羽交い締めにされるか…
と言う所だが。
どうしたんだ?
別にそんな事されたくないけど。
何故かその時気になった。
・
あいつ妙な所で傷付くからな…。
けど今、そんな引っ掛かるような事したっけ…?
・
今の出来事を順を追って考えるが、……夢うつつでほとんど覚えていない。
そんな事をつらつら考えてる間も、
沈黙が部屋に響いていた。
・
目をつぶっても、何だかもう眠れなかった。
寝たかもな、と思ったが。呼んでみる。
・
「三上?」
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「…はい?」
・
低い声で返事が会った。
ゆっくり振り返ると
うつ伏せになって組んだ腕の上に頭を埋めた三上がこっちを見ていた。
「…大丈夫か?」
「は?…ああ・・・」
妙な質問なのは判っていたが、その顔が落ち込んでる犬みたいに見えて、つい口を付いた。
寂しそうだったから。
やっぱり変な顔されたか…と思った
その時、
「お前、こっちの目変になってる。」
竜也が2言目を切り出すより先にそう言って三上の手が伸びた。
右目の目蓋を親指でなぞられる。
・
・
狸寝入りだなと言うのは背中でわかっていたが。
振り返ったかと思うと、今起きましたと片目を奥二重にしながら…
何か言おうとついてこない頭で焦ってる様で。
あまりのボンらしさについ笑いがもれた。
『いつもこーだったらちっとは可愛げもあんだろーにな。』
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なぞっていた指が、手の平ごと水野の手に捕らえられる。
頬を覆う三上の手の上に自分の手を重ねて。
その温もりを感じてるように少し伏せ目がちに視線を落としてから、三上を見た。
三上もまた黙って竜也を見ていた。いつもみたいに意地悪くニヤケル訳でも無く。
しかし怒ってる訳でも無かった。
視線が絡むとゆっくり竜也の口が動いた。
・
「ごめん。」と。
・
・・・・「ああ。」
わざと間を開けて三上が答えたが『何が?』
とは聞かなかった。代わりに
頬の手を項にまわすとぐっと上半身を引き寄せて、キスをした。
・
それは照り付く西日のせいだったかもしれないが、
こいつは俺の事ど−思ってんだとか。
何で何時も自分ばかりが機嫌を取ってやらねばならないのだとか…。
お前はそれでもホントに俺の事好きなのか?とか
もうどーでも良かった。
・
水野がそれを一字一句理解してるワケないだろうし。今だって、
なんで俺が機嫌そこねたのかホントの所で判ってるのかどうかも怪しい上に。
それでまた俺の事をすぐ拗ねるナイーブでわがままな王様だとか思ってたりしたら……もう鉄拳モノだが。
結局、こいつの顔を前にしたらそんな事出来やしない自分に気が付いてしまったから。
もうどーでも良かった。
・
俺が傷付いてる事を知れば、こいつも一緒に傷んでる事がわかったから。
・
目が会った時に、分ったのだ。
何であれ俺はこいつと離れたくないのだと。
そしてそれだけはこいつも俺と同じなんだと。
・
背中にしがみついて来る腕に負けずと強く抱き返す。
が、
「あ、ちっと待て。」
ム、っと離れ際に不満そうな顔を見せた水野を軽く制して、窓を閉めカーテンを閉め。
やっと、クーラーのリモコンに手を伸ばす・・・・。
「俺、ちょっとシャワー浴びて来て良い?」
後ろから声がする。
さあ、って時に。風呂かよ。まー、正直俺もこのままやんのもどーかと思ってたけど。
「…いーけど。じゃ、俺もそーするわ」
水野は一瞬固まっていたが、振り返った三上の顔を見ると、見る見る赤くなりながら眉を顰めてそっぽを向いた。
「どーかした?」
「別にっ。……先に入ってくるから。」
目をそらしてからそれだけ言うと、誰も居ない家と判っていながらシャツをかぶり部屋から出て行く。
いかにも水野らしいその仕種に閉まったドアの向こうで三上は声を殺して笑うのに必死だった。
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どおぞ〜…俺は後からいくから。
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未消化です。何が書きたかったんだか私は……。
ちなみにこの話に続きはありません。
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