二人-後-
二人と話は続いてますが、何か別物に…。大した事ないので表に置きます。
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「シゲっ!こんな時間まで何しとったんじゃ!!」

「げ、和尚。ちょったんま、たんまな!」

二回の窓に中吊りになりながら、何とか中へと…・・ほとんど引きづり込まれたシゲ。

「まったく、今日と言う今日は…コレ、聞いとるのか!?」

めずらしく言い訳もせずに説教を聞いてると思ったら、ところどころで何かを思い返した様にフフッと笑いだすシゲ…。かと思いきやまた真面目腐った顔で今度は何やら考え込み。

「おい、シゲ?」

顔を覗き込んだ瞬間和尚の顔を見るなり薄く笑うと、ハゲた頭をぽんぽんと撫でてから再び真顔に戻る。

「ーーーーー…。」ピキピキと和尚の血圧が上がっていくのすら気付いてなかった。

『このガキ何も聞いとらんな!!』





次の日。

あいつ、なんでこないんだよ…。

「本間さん。」

「何だ水野?」

怖い顔をして近付いて来た竜也に、一瞬だが「また苦情かよ?」とでも言いたげな面倒臭そうな顔を浮かべる先輩。

それを見取った竜也の顔に寸分だけ暗い影が落ちるが…誰にも気付かれずそれは消えて行く。

「あいつはど−したんですか?」

「?…ああシゲか。さあなぁ。けどま、あいつのコトだから試合には間に合う様に顔だすだろ。」

「だすだろって、そんな無責任な。」

「俺に怒ったって仕方ないだろう、あいつはそ−言う奴なんだよ。」

「じゃあなんでそんな奴入れたんですかっ!?」

竜也の必要以上の剣幕に、普段は温和な本間もムッとなって言い返す。

「水野…いいか、お前の置かれた立場をよく考えて物を言えよ。」

「なっ…」

「このままシゲを首にしたって、代わりの奴を探してる時間なんて無いし。それで皆が新人戦に出れなくなったら、お前責任とれんのか?」

「ここにはここのやり方が有るんだ。お前1人が足並みを崩してるのがわからないのか?…嫌なら辞めても良いんだぞ。」

幾度と無く打たれた言葉の杭が、再び竜也の背中に突き刺さる。

何故?

俺はもっと部に良くなって欲しいから、もっといいサッカーがしたいから…。奔走してるのに。

じゃあ、お前達は何でサッカーしてるんだよ。お前らなんかにそんな資格……。

違う。

…やっぱり俺が。居場所を間違えたのかもしれない…

「・・・・・。」

「分かったら戻れよ。ミニゲーム、はじめっから…」


言葉にならないもどかしさが身を襲う。



あいつは…違う気がしたのに…。
くそっ!

何でこないんだ…佐藤。



地図を片手に日も落ちた路地を歩く。

「いいけど…余計な事するんじゃねーぞ。」

そう言って本間が書いてくれた地図。

ここか…

ここなら知ってる。

寺はそう自分家から遠くない所にあった。

通り過ぎた事は何度も会ったけど、来るのは初めてだった。

横手に回って玄関らしき入り口を見つけると、竜也は迷わずそのベルを押した。



頭の上で人の話声がする。

それから静かにふすまの閉じる音、

誰かおるんか?

浮上して来た意識にぼんやりと目をあけると、竜也の姿が目に飛び込んで来て、

ぱちりと開いたでかい目。

わっ!

途端がばっと起き上がろうとするが、頭痛が走って再び布団にうっぷす。

…あーせやった………・。

しかしびっくしたわ。

「…お、起きたのか?」

驚いたのは向こうも一緒の様だった。

「よおー・・・どないしたん?」

布団の横にちょんと正座した姿がまた何とも言えず…やっぱこいつおもれーな…なんて考えながら。

何か言いたげに、けれど詰まった様に言い淀んでいる顔を見て笑みを浮かべる。

「今日こなかったから…。けどもう良い。」

「さよか?」

「さっきお坊さんに理由…」ぷっと吹き出すシゲに竜也が!?となる。

「タツボン、和尚や和尚。おぼ…何か違うわ…。」

あはははと身体を二つに折って腹を抱えて笑う姿に、かっとなった竜也がその場を立とうとした瞬間、手首を掴まれて、再び戻される。

「何だよっ」

「あー悪りぃ悪りぃ。…ほなタツボン心配して来てくれたん?おおきにな。」

まだ笑い足りなそうに気配にむっとしながら竜也がそっぽを向く。

「俺は、お前じゃ無くて新人戦の心配しただけだよ。」

「そーか?」

「頭打ったって…?」

「おう、せや。小鳥のヒナ助けよう思うたら屋根から落ちてもた。」

和尚の話では。昨日の罰に早朝の雨樋の掃除を頼んだら、案の定屋根の上で爆睡してて。どなった和尚の声に飛び起きたはいいが、拍子に中庭へとまっ逆さま。脳しんとうを起して半日のびていたそうな…。

「へえ…」

あきれ顔の竜也も気にとめずニシシと笑うシゲ。

「ま、どっちにしろわざわざ来てくれたん。ほなおおきに。」

そう言って、まだ竜也が自分から目をそらしてる内にその腕をくいっと引き寄せ…

「あっ」

声をもらしたのは竜也の方。

迫って来たシゲの顔にピタンと手平で蓋をして、危なかったと身を引く。

ジロっと険悪な顔で睨まれて、その状態のまま冷や汗のシゲ。

そっとシゲから手を放しながら…つかまれてる腕以外の身を遠ざける。

「・・か、関西では礼がわりにこうするもんなんやで…」

「嘘をつけっっ!」

「嘘や無いって!」

「ふざけんなっ」

流石にコレは無理やったか…と苦笑い。

「つーか、…放せよ。」

もう、ここにいたく無い。今すぐ帰りたい。と出ている竜也の顔を眺め、珍しくシゲがちょっと考える。

「いやや。せっかく来たんや、茶位のんでき。」

こいつ、よくもまあ。どの神経でそんな事が言えるんだと思いつつ…。

そう言いつつゆっくり竜也から手を放したシゲに、

何故かその時竜也は渋々うなずいたのだった。

話はしてみたいと思ってた。昨日から…。

こいつが一体何者なのか、知りたいと思って。



だからって…なんであんな話になったのか・・・。



「お前、何で俺のコト知ってたんだ?」

「うーん。ちっとな。それにあんたって何つーか浮いとったし。」

「どこが!?」

「・・・どこがって言われてもなー。何か目立っとるし。」

「お前に言われたく無いぞ。」

「そりゃそーやけど。別にええやん、悪い事じゃ有るまいし。」

「嫌だろ。」

「何で?」

「何でも。」

「へんなやっちゃなー。」

と言いながら、あぐらで座る竜也の横に寝そべって飲んでいるのは…缶ビール。

おやじか・・・・。

「酒、止めろよ。」

「は?」

「試合までは止めろよ。」

「何で?」

「スポーツマンらしくないからっ。」

一拍おいたシゲが大爆笑。

「…そないな事ゆーとるから、ボンボン言われるんや。」

かっとなって反撃しようとした竜也の手からコーラが奪われ。代わりに梅酒が持たされる。

「飲んでみ?」とばかりにふふーんとゆう顔で覗き見て来るシゲ。

俺はいい。と机に戻そうと伸ばした手を押し返される。

その時、竜也の顔を真面目になってみていたシゲがとんでもない事を言った。


「タツボンて、まだむけてへんやろ。」


hゲホっ

仕方無しにと一口飲みかけていた竜也が、炭酸に思いきりむせ返る。

「お前っ何…、酔ってるな。」

「ちっとな…」笑うシゲ。「で、ほんまのトコどうなん?」

「関係ないだろ。」

ヘラヘラと笑うシゲの横で竜也の口調が座って行く。

握っていたカンの中身を一気に半分飲み干すと、

「帰るっ!」と立上がり、そのままぺたんと床に逆戻り。

あははと笑ったシゲがその拍子に竜也の上にのしかかる。

「ちょっと…。おいっ」

「ーーーーーーーーーー?」

鎖骨の上のシゲの顔を伺うと、もう笑っては居なかった。何やら神妙な顔付きで…

両手は繰り上げられて頭の上。胸から下はシゲが居るから自分でも見えない。

「ぅっ・・・。」

急に血が頭に昇って来て視界が回り出す。(一気に飲むから)

やばいな。早く帰らないと…。と頭が考えてるさ中、身体が突然跳ね上がった。

な・・・に?

胸の上には悪戯っ子の顔をしたシゲ。

「いっ…つ…お前…何!?…痛っ…い・・。」

「ふ〜ん。思った程や無いな。お父んマメな人やったん?」

親…父?何言ってるんだこいつ。

って、

「どこさわってんだよっ!!!!」

ヒヤリとした彼の手の感触にやっと、事態がはっきりして来る。

「さとっ・・・」

「あ、シゲでええから。」

震えの走る両足。

手の平の中の塊をきゅっと握ると、もがいて居た竜也がぴたっと止まる。

「ぃ・・・っ・・」

それから一拍置いて、「さわるなっ」と裏返りそうな声でわめいた。

竜也の反応に内心びっくりしながら、今度はゆっくり握った拳を先端へと引き抜いて行くと、

堅く張り詰めて行く竜也が手にとる様に判った。

へぇ・・・…・・。

自分の物はともかく、人の物なんて触るのはシゲも初めてで、苦しむ竜也をよそに興味な感嘆をもらしてしまう。

--濡れてる…。

それは竜也も思った事だった。

知識では知っていても(それもうっすらと)自分の身に起こるのはコレが初めて。

気付けば、何時の間にか静かになった竜也まで、自分の身体を伺って居た。

どっから溢れているのか竜也には判らないまま。

漏れて来る体液を滑猾にしてシゲが脱げかけた皮を指で下まで押しやっている最中に、出て来たばかりの肉塊に爪がひっかかった。

「いっーー…っつ…ってめろ……!!!」

「あー待った待った。」

本気の力でシゲをはね除けようとする竜也をなんとか抑え様としてる最中に、つい力のは言った右手が、

かつて無い程、ぎゅっと竜也を握り込む。

「うぁぁっ…!!!」

動けないはずの身体が畳の上で背を九の字に曲げ喉を仰け反らせタンっと音を立てて、畳に戻る。

「あ…やばっ…って・・・。」

びくびくと幾度か小さく痙攣してからどっと力の抜ける身体。

…シゲもびっくり……。

手の中には生暖かい感触。

「タツボン?」

「タツボン?イってもうた?」

右手を下着の中から引き抜くと、まだ水ノリみたいな透明な液体が手の平を濡らして居た。

「・・・水野?…」


それを見た瞬間、だんだんと正気へ戻って来る。


「・・・。」

竜也を見るが、そむけられた顔は荒い息を付いているだけで、表情は見えなかった。

上下する胸の上に顔をつけると早い鼓動の音が聞こえる…。


まさか…。

この前知ったばかりのこいつと。否、こいつに、まさが自分こんな事がするとは…

自分でもびっくりで。


ドクドクとなる竜也の鼓動と自分の鼓動が重なって行くのを感じる。

自分のコトじゃないのに、シゲまで暫くそうして竜也の上から動けなかった。

「何考えとるんや…俺。」


未だに押さえ付けたままだった竜也の両手に気付き、はっとなって手を放すが。

何も…ない。

恐る恐る、身を起して顔を覗き込んでみると…

竜也は静かに寝息を立てて居た。

「・・・・・。」

それがなんだか痛々しく見えて…竜也にか、それとも自分にか、唖然とするシゲ。

そっと伸ばした手で髪を避けると、眉を寄せて片く目蓋を閉じた竜也の横顔。

額を流れる汗をそっと拭った。

「ごめんな」と言おうとして、口から出たのは

「しもた、もっと顔見ておきゃよかった…」

だった。


あーーーしもーたやってもーた。

明日からどないしよーーー。けど、別にレイプしたってわけじゃ…や、これもレイプに入るんかな?

う〜〜〜ん。

と悩みながら、竜也の横に一緒に寝転がって、寝顔を見ながらゴロゴロ。

まあどっちにしろ。

「寝顔はかわええのにな…」笑いがもれる。

まるで飼ってる猫に添い寝する様に側に寄せると、寝てるのを良い事にその髪や肩を撫でる。

忘れていたが、

「…せやな、いっこ下やもんな。」

まだお子様でもしょうが無いわな…。

そう良いながら目の前の形の良い鼻筋や頬のラインを指でなぞって行き、行き着いた唇で指が止まる。

静かな夜の帳の中。人知れず、ここだけ空気が張り詰めてる様だった。

しばし躊躇してから、そっとそこに自分の唇を重ねた。

触れるだけで、離れて行く。

顔を放しても瞳が閉じられていたのにほっとして身体を起す。

何とも言えない不思議な気分。男相手に自分は何やってるんだと思いながら…。

漏れるのは苦笑ばかり。

取りあえず、夕飯前の掃除をさぼるとまたじじいが煩いからな…と畳の上で丸まる竜也に押し入れから出して来た新しいバスタオルをかけると、部屋を後にした。





戻って来ると、畳の上にぼんやりと身を起した竜也が戸の開いた方を見て居た。

「よお、気ーついた?」

「お前…・・俺なんで…。ああ、」

要領のえない頭で何かに考え付いたらしく、ふらふらと立上がった。

「邪魔したな…。」

そう言うと髪も直さずに、ほとんどまだ寝ぼけながらシゲの横を通り過ぎて行こうとする。

「おーちょいまち、タツボン飯食って行かへん?それか送るわ。」

「・・・いい。」

「や、そりゃあかんやろ。」1人で帰るのは無理すぎる。

あかん。これはどっかプツンと行ってもうたかな〜?

と思いつつ。

夜道を並んで歩いて行く。

竜也はあれから一言も喋らない。もしかして、目が覚めて来て怒っているのか、それともまだ呆けているのか、シゲにも見当が付かなかった。

水野と書かれた門の前で、

「ほな、また明日な。」

「ああ、」

振り返った竜也は黙ってシゲを見て居た。

「…何や?」

「何でも無い。」

と言うものの、何処か煮え切らない様子で言い淀んで居る感じ。

「タツボン?」

「今度やったら殺す。」

「ーーーーーーーーーー!!!!」

うわやっば・・・。

さーーっと背中の温度が引いて行く。

とてもボンとはもう呼べない顔で睨まれて、固まる佐藤。

「ど、どっち?」

竜也が何を指してるか位判るが、アレもやったし、コレもやった。とパニくってつい口から出た言葉…。

「両方!!」

それだけ言うとバタンとドアを閉めて行った。


両方?

両方ってなんやろ・・・。

自分で言っといて「?」のシゲだった…






「なーータツボンのファーストキスっていつ?」

枕を胸の下に抱き込んだ竜也が振り返る。

「さあ、…な」

かなり眠そうだ。

明後日から夏の地区予選が始まるから、2人でゆっくりできるのも今日で最後。

「やっぱり俺?」

ニシシと笑うシゲの顔を見ながらんーー?とまじめに考えだす。

『違うんか?』

…まさかと思っていたシゲは内心焦る。知り合って1年。自分以外の男(女)の影を見た事は無かったのに…。

「ほな何時?」

「ああ…中一の時かな。」

「マジで?」

答えながら目をつぶって寝に入る竜也の肩を揺する。

「何だよ…」

「誰?」

「誰だっていーだろ。」

「えーやん。誰?同校の奴?」

「…内緒。」

そーいうとコロンと後ろを向いて眠り出す。

「あ、なっ、ちょっ眠れん様になるやないか!!」

背中で聞こえるシゲの声に含み笑い。


自分の胸に聞いてみろよ…。

しかし声には出さず、背中に抱き着いて来る体温を感じながら、そのまま意識を手放すのだった。






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えー最悪ですね。スイマセン(−−;)続編なんて書くんじゃ無かった。そして裏でも何でも有りませんでした。
そしてシゲも竜也も誰?と言う感じ(涙)


















































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