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『DIVE TO BLEU』
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ここ数日、鳴海の機嫌が最悪なのは分かっていた。
上機嫌で昼からふらっと登校して来たかと思えば、
6限目のチャイムにはもう居ない。
それでも、元々ムラっ気の激しい性格のお陰で、
異変に気付いてるクラスメートは居なかったが・・・。
何もやらかさない鳴海の。
それが返って不気味だと設楽は思っていた。
休み時間フとでかい声に話しを阻まれる。
『うるせーな。』またバカでかい声で笑いやがって・・とちらっと目を配れば

教室の後ろ、廊下側の隅を陣取る鳴海と何故か目が合う。
『何で、にらんでんだよ、こっち・・・。』
囲いの連中とたわいない笑い話を続けながら、その視線は
どー見ても窓際の設楽を射ぬいていた。


 ここの所、視線に気付けばずっとこんな調子だ。
部活で話をしててもこれと言って不満を言って来る
訳じゃないし。
否、寧ろ普段より大人しい位で。
何なんだあいつ?
俺が何かしたか?
そんな覚えはねーけど。
またどーせ何か気にくわないとか言いだすんだろう。
・・・・。ま、何でもいいけど。
あんな気分屋をいちいち相手にするのは無駄だと首尾を返す。
実際、こんなのはいつもの事で。鳴海をちょっとでも知る奴なら、
それが彼と付き合うコツだと言う事を知って居た。
あの手のタイプから身に覚えのない逆鱗に曝されている時は
冷めるまでほおって置くのが一番なのだ。

しかし、無視しようとすればするほど、

クラスも一緒。部活も一緒。おまけにポジションまで・・。
ああ、めんどくせー。ただでさえ暑苦しい季節だと言うのに。
背中に張り付く視線がウザイ何てもんじゃない。
いい加減。・・さすがにいい加減、

ムカつく。

「設楽ちょっとーー」
HRの終わりと同時に担任に呼びつけられる。

その日鳴海は都選の何たらで休みだった。
『ヤローこんな時ばっかりしっかり連絡入れやがって。』
 こうして俺は仕方無くテスト予習プリントを届け、
ついでに借りパクされてるソフトを返してもらう為に、鳴海の家に行く事になった。

長い夏の日もとっくに落ちた頃、部活帰りの疲れた体で、

いつもより少し遠回りの道のりを歩く。

・・・理由なんてどうでもいい。今あいつと関わるのはごめんだ。

さっさと済まして帰ろう・・・。

そう思いながら呼び鈴を鳴らすと、奴は居なかった。
ドアが開いた瞬間、
あいつ母親似だったのかよ・・・。
と言う事を思い知る事になる。
渡す物渡して帰ろうとする俺の望みは叶わず。
さあさ、と二階へ上げられる。
超ー強引・・。
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「・・・・・。」
しかし、待てど暮らせど鳴海は帰って来ない。
ああ、見たいドラマが始まってら。
床に転がった雑誌をめくってみるが、趣味じゃ無い。 
鳴海がいつも付けてるコロンの匂いがフと鼻を
かすめた。

今思えば、
トラの巣でうっかり昼寝何てしてたのが、運の尽きだった・・・。
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中学二年にして180を超える身長と圧倒的なパワーとフィジカルの強さ、
明星中きっての大型FWと呼ばれる彼。
鳴海貴志の今日の気分の悪さは間違い無く、
十数年生きて来た中の5本の指に入った。
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「ただいま。」
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機嫌の悪さを押し殺すようにそう言った声の後ろで
バンっとでかい音を立ててドアが閉まった。
「ちょっと!!静かに閉めろっていつもいってんでしょう!!?誰ー?貴志?」
居間から飛んで来る予想どおりの怒鳴り声。
ちょっとめんどくさそうにキッチンから怪訝な顔を出した母親の出迎えを無視して通り過ぎる。
「あんたの友達来てるわよ、あの小さい子・・何だっけ?
「部屋上げといたからね。」
返事もせずに階段を上る背中にそう告げると
「何あれ?」
と呟いてから、母はさして気にした様子も無く居間に戻って行った。

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部屋の戸を開けると、飛び込んで来たのは
その姿。
無防備に畳みに突っ伏し寝息を立ててる見知った顔。
まさか火種の種がこんな所に居ようとは・・・。
「おい。」
・・・無反応。
持って居たサブバックを勢い良く投げ付ける。
「おい、何時まで呆けてんだよ。」
バックが背中にあたって滑り落ちると、
ゆっくりと身体を起こした。
「ああ、・・・」
ぼんやりとした面で俺の顔を見て
「これ、テスト範囲だってよ、ばばあ(担任)がうるせーから・・。」
だから持って来てやりましたと言わんばかりの態度。
そういって突き出されたプリント。
「それからさあ、いい加減あれ返して・・・」
消えろ。今直ぐに。
奴の手から紙切れの束をひったくると存在を無視してベットに寝転ぶ。
「帰れ。今日は気分悪りぃーんだよ」
顔を見てるのもうざかった。
犯すぞ。

空気がやばい。想像以上に不機嫌な鳴海。
さっさと帰れば良かった。帰りたかった。
別に腹が立った訳じゃない。ただストレスは溜まっていたに違い無い。
何であんな事になったのか、今でも解らない。
『また女かよ・・・。』
何時も感じて居た腹立たしさを心の中に吐き捨てる。
「??」
仁王の顔と目があった。
はっとした時はもう遅くて…口に出て居たらしい。

ガツ!っと、顔面に飛んで来た拳を寸での所で捕らえる。
アブねーな。
しかし抗うも。片手で両の手首を取られ、上から押さえ込まれると身動きがとれなく
なってしまう。
設楽が弱い訳では無く。体重の差がありすぎた。
鳴海の下でそれを、
猫みたいな眼光で睨み付けて来る設楽。

「この、クソガキっ。」
「その四つ枝へし折ってやるぜ・・・。」
何よりも低い垂下の声が耳もとで響いた。

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