既にはだけられたシャツに膝までずりおろされたズボンの竜也に対して。
衣一枚乱れていない姿のシゲ。
「っ……ん…」
耳の後ろにきつく跡を残して、そのまま鎖骨から胸へと唇が伝う。
竜也の体はと言えば、部室のテーブルの上に仰向けに寝そべり、その間に入ったシゲの体によって浅く開かれた両足。その格好はさながら解剖前のカエル一歩手前と言う感じだ。
好き勝手に胸をまさぐる右手は、時々胸の突起にぶつかるとわざと先端がするように上下して。
時折それを強く摘まみ上げる。
「っう………」
と声を上げて、竜也が眉をしかめる顏を上から長めながら、堅く立ち上がったそこにさらに強く爪をたてる。
「っー…!……ちょっ……しげ?」
赤くなったそこからちょっと爪を浮かすと赤い線から血がにじみ出る。さすがに竜也が痛みに身じろぐが、
痛みを訴えても薄く笑むだけで止めようともしないシゲを、竜也が非難の目で見上げる。
「何や?」
とそんな視線もいつもの気前の良い笑顔でクスリと流しながら…
その爪にいっそう力がこもる。
「ちょっ……何して!!…」
あまりの痛みに身を起こしかけると。その手がすっと離れて行く。
文句が来る前に、血の滲む乳首をざらりとなめると竜也の肩が跳ね上がった。
怒りを露に睨み上げて来る竜也にもフと不適に笑みを返すだけ。
胸を嬲っていた手が、今度はわき腹を伝いながら落下して行く。
シゲの冷たい手の平が柔らかい肌を伝うたびにゾクリと肌が栗毛立つ感じ。
耐えるように目をつぶり、息が上がる。
おざなりに開かれていた足の間に強引に手が割り込んで来る。
「ほれ、もっとひらき。」
耳もとで囁くと、目を開けてちらりとシゲの方を見た竜也が躊躇しながら、ノロノロと開く…その前に。
パンっパンっ。
と両の内ももにビンタが飛んだ。
「はよ開けや、」
顔や口調はいつものシゲなのに、そのかつて無いぞんざいな扱いに竜也の目が見開かれる。
「何してんだよ。」
ついさっきまで、熱に身を任せようと上ずっていた吐息が、はっきりと怒調の声に変わっていた。
「何って、今からナニするんのやろ?」
『なっ……』
やはりこれはもう責め句なんかじゃ無い。
いつもとは明らかに違うシゲの様子。
だが、竜也が戸惑っている間にもシゲの手はさっさとトランクスにかかり、一気に引き下げられる。口はともかく腕力だってまだシゲにはかなわない。
「やめろっ……もう今日は……」
最後まで言えなかった。身を起こしかけた瞬間目の前にさらけ出された自分自身が目に飛び込んで来て、竜也は押し黙る。カッと差恥で頭に血が昇るのが判った。
「何や、しっかり感じ取るやないか。」
勃ち上がりかけたそれにくっきりとシゲの視線を感じて、じわじわと嫌な体温が上がって行く。
そんな竜也の様子をなめるような視線で観察していたシゲが、喉の奥でククッと笑うと。
震えながら勃起したそれを、ビンっと強く指で弾いた。
−−−−−−−!!!
しなるペニス。
「うあ……くっっ……っ……」
一瞬遅れてしみるような強烈な痛みが襲って来た。
とたん仰け反った体のせいで、ゴンと後頭部を机に打ち付ける。
幸いそれ以上シゲは竜也に触れて来なかったが、涙の溢れた目を薄くあけると薄笑いのシゲが視界にはいった。
「いつもはすましたツラしとる癖に、ホンマお前はコレ大好きやわ。」
なあ…タツボン。
「な…っに……って」
「ちが……あ………あ……あああ!!!」
ずぶりっといきなり差し込まれた指に、フいをつかれた竜也が苦しむ。
まず一本。
伸びた爪でわざと内壁を引っ掻かれる。
「っ……っ…」
とたん上がった声を息で殺す。
「こんなんされてももうここ濡れてるで、ほんまやらしいなあ、タツボンは。」
「すましたボンボンの皮かぶってる癖にここはすっかり淫売やないか」
そういいながら2本目を挿入する。
ぐんと圧迫感が増す。
−−−−−−−!!
おかしい。
もうそれは睦言ではなく。ただの侮辱に等しかった。
こいつ変だ!
だが、
肉癖をかき回す指の感触に上手く言葉が紡げない。
竜也の体を知り尽くしたシゲの指が、一番弱い所を何度も何度も丹念に行き来しては時折爪をたてる。
その度に苦しみ背を仰け反らせる竜也を、シゲはただ無味乾燥の瞳で眺めていた。
冷たい色。
3本に増えた指入り口が限界を訴える。竜也は目を閉じて耐えるように息を殺していた。
そのままばらばらに動かすと広げられた隙間から体液が流れ出す。
体の芯が濡れて行くのが判る。
「んっ……つっ………」
指を抜かれる瞬間、声が漏れた。なごり惜しむかのように内壁がシゲの指を無意識に吸い付いて、ちゅっと音を立ててぬけた。
ほっと息をはいた竜也が非難の目で見上げてくるが、
「んながっついて、はしたないで。」
抜きさった指をペロッとなめながら、ククッと竜也を見下ろすシゲ。
・・・・−−−−。
また視線が肌に突き刺さる。
「さあ…て。」
股の間にはさっきから堅く立ち上がって震える竜也のソレ。
だがシゲはそれには決して触れようとはしない。
両手首を頭の上でくくられる。


どないして欲しいん?


上から囁くが
差恥に赤く染まった頬を背けたきり竜也はシゲを見ようともしない。
「このままじゃどうにもならんで…。あんたかて苦しいやろ。」
どうすればいいかなんてわかるわけない。
体の間にはシゲがいて、覆いかぶさる一歩手前の所で竜也の一挙一動を観察しているのだ。息をするのだってままらないのに……からだの熱はどんどん上がる。


「ほなしゃーないな。」
知らぬ間にめじりに流れていた涙を拭われる。
「言うてみ。あいつとどんなHしたんや?」
静かな声だった。
優しい口調で、涙をふいた手の平があばらの上をなぞる。
嫌な予感がした。
そしてそままへそのラインを真直ぐに下ると反り上がったペニスまで降りて行いく、
それだけでぞくりと泡立つ肌に身震いした。ところが、
突然爪で引き裂かれる痛み。
「めろっ!!……し……うあ…あああ…あ…ああっ」
踞って転げ回りたいような痛みなのに、しっかりとシゲの手にくくられた腕のせいでそうはままならない。跳ね上がろうとする背中も押さえ付けられる。
必死で息をつぐ。
痛みの納まった頃、ぐっと腹にかかった圧迫に目をあけると…。目の前に抱え上げられた自分の下股があった。
「な・・・に・・。」
目に飛び込んで来るのは…自分の……そのすぐ上にはせせら笑うシゲの顔。
さらけ出されたてっぺんにシゲの吐息を感じて嫌でも腰がビクリと波打つ。
「…も…やめろ………。」
震える声を絞り出す。
もう耐えられない。
「ほな、説明し。言う通りにしてやるさかい…。」
「だからやめ……っ……」
竜也が言い終わらない内にペロリと先端をなめられた。
傷付いて血の滲む亀頭がぴりっとしみると同時に、言い様のない感覚が腰の奥から伝う。
突如ボタボタと自分の顔に降り注いだ熱のあるドロッとした水滴にあ然となる。
卑猥な匂いにソレがじぶんの精液であった事をやっと知る。


・・・・もう嫌だ。
俺はここまでだ。これ以上の辱めなど、自分に許さない。
何があっても……。


つい今までの隠せない絶望感と言うものが竜也の顔から消えたのが、シゲにもはっきり分った。
精神を深く眠らせる。体だけの人形に成り下がった瞬間。


焦点のない瞳が見つめるのは目の前の肉根でもシゲでもない。ただ天上を見つめる目。


その時、シゲの中に湧きあがったのは、焦りでも驚きでもない。
怒り。
こいつ……逃げよった。
一気に彼を襲ったのは取り残された子供のようなあの気分。そして、膨れ上がる腹立たしさ。
「ほな、ええで。体、借りるわ。」


お前がその気なら……。
「覚悟せい。」


低い。誰何の声だった。




「あ……あ…ああああ…・・っ………ん…くっ」
自制の外れた身体と言うのは酷かった。
「…や…っ……う……うあ……あ…」
声を押さえる様子もなく。
与えられる快感を与えられるだけただどん欲に吸い取る。
正気でこれだけ感じっぱなしだと。泡でもふくんじゃないかと思った。
狭い肉の壁が殆ど自動的にシゲを求めて凝縮をくり返す。
「やっぱ、あんたはええわ。」
無意識にシゲの口から漏れたセリフ。
いつもだったら、赤くなって怒りそうだが。
ゆすぶられるままに切れ切れの架橋をもらす竜也。
それでも、大股を広げさせた時に震えた膝にどこか竜也を見て、シゲは脳回路を巡らす。


心と身体を切り離すなんて。昨日今日性を覚えたヒヨっ子につとまるわけがない。
それこそ年期の入ったAV女優でもない癖に。


・・・・・んなこと初めから判っていたが。
けっこう竜也が頑固なものだから。気付かないフリをしてやって来た。
そんな自らの薄っぺらい傲慢には流石に笑いたくなった。


うつ伏せて、腰を高く上げさせた格好で犯していた竜也からいったん自分を引き抜く。
尻から背中にかけての筋肉がズルっと行った時に細かく痙攣していた。


再び仰向けに直す。どんなに汚れていても、やはりその顔は綺麗だと思った。
汗と涙と唾液で濡れた顔を軽く手の平で拭う。すると相変わらずビー玉になった瞳がけだるそうに開けられる。今度はその目を覗きながら、状態をかかげるとゆっくりと挿入して行った。
とたん歪められる顔。
押し入った瞬間
「んっ………」
と吐息が漏れた。
「……っ…ゲ……。」
と、小さく、本当に小さく自分が呼ばれた気がしたが…。


それ以上は何も聞こえなかった。相変わらずの瞳。


そろそろ、その目をみるのも『嫌気がさしてきよったわ』
と取り出したのは通学用のサブバック。
それで一気に竜也の顔を覆う。
呼吸を阻む為だ。
そして動きだす。


くぐもったあえぎ声の中に変化が生まれる。
5・4・3・2・…
心の中で秒読む。
その時、繋がったままの竜也ががばっと起き上がった。
『おわっち……』
何処にそんな力が残っていたのか、これには予想どうりに事を運ばしたハズのシゲも面喰らった。
上体を深く起こしていくうちにシゲが自然にぬける。


真っ赤な顔で。
肩で息をいながら。
凄い顔でシゲを睨んでいた。
強烈な眼光の戻った竜也の顔。


怒りに唇が震えているのが分った。
だが、何も言わない。


シゲの食台となってしまったテーブルからさっと身を翻すと、
まだほんとは途中なのだが 余韻の残る体をお構い無しに急いで服を身に付け始める。


ポカンとその様を見ていたシゲが。くっくと喉を鳴らし。
そのうち爆笑しはじめる。


「やっぱりおきてよったな。このどあほが。」


その言葉にキっと振り返るが。火でもふきそうな視線を返すと。
立たない腰で、びっこになりながらドアへと向かう。
途中カクんと膝が折れたのをみて、とっさにシゲが腕を伸ばしたが、
ぴしゃりと拒絶された。


雨は激しくなる一方で。
竜也の出て行った部室でシゲはやめていた煙草を天上へとくぐらしていた。


「何でビンタの一つもないんや……」


一人呟く。


「タツボン。お前の事ほんまにみてんのは俺だけやで。」






戻る
表ノベル(black2ヘ)





























SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ ライブチャット ブログ