**華日**
---------------------+8888get様+-----------------------------





「みーずーのー君。」

「よお、今行く。」

2回の窓から顔を出すと手を振る風祭にウチワを持った高井。

そして既にでかい鼈甲飴を食わえるシゲの姿。

今日は近くの土手で花火大会。

「何や何や、せっかくの夏祭りに男4人で。どいつもこいつも寂しいやっちゃなー!」

左うちわでそう言いながら、出て来た水野君をにこやかに見入るシゲにカザも高井も

『・・・・。』

「なんだよ。」

「おーよう似合ってるでー。」

「ど、どーも。」

とシゲから隠れるように列に加わった竜也の浴衣姿の袖をちょっと引っ張って振りほどかれていた。

同じく浴衣の風祭に、やっぱり甚平の高井。そして当然シゲは私服。

屋台の並ぶ歩道を土手へと抜けると、やっぱり凄い人。

通り過ぎて行くアベックに、何となく気を引かれるシゲと竜也。

「ここは去年と変わらんなあ。」

「…そうだな。」

何気なく口にした会話だったが、去年は2人で来たっけ・・・と言う意味に繋がってしまうのに気付いて、

はっと口を紡ぐ二人。

今はお互い別々の相手がいるし、特に困った会話では無いのだが…。

「色々きてんなー…」と話題をそらしながら芝の上に並ぶ黒山の集りの中、目指す場所へと歩いて行く。

「あ、あれ。」

それを知ってかしらぬか楽しげに高井と話し込んでいたカザが水野をつつく。


竜也がそのメンツを確認する前に。カザが「こんばんわーv」と声をかけに行っていた。

「ああ、風祭。」

もう見なくても判ったという顔で気付かない振りをする竜也。それをちらっとシゲが見ていた。

「よっ!何だそっちもお揃いじゃん。」

泣きぼくろからおーっすと声が掛かると「よお。」っと普通に返していたが、それだけだった。

「タツボン、話してこんの?」

「え?」

渋沢と藤代の向こうには今の竜也と同じ様に。避けるわけでも無いが、挨拶の一つも無い三上の姿。

「別にいい。」

「ふ〜〜ん。…ケンカ?」

と声を潜められると、竜也はきょんとしてシゲを見た。

「いや、」何でだ?そんな感じで。

竜也に耳打ちしているシゲを三上がじっとして見ていたが黙っている、それに気付いた竜也が声をかけた。

「どーも」小さく微笑んで軽く手を振る。

「おー。」

両手はポケットのまま向こうも同じような顔で一言返しただけだった。


「・・・・。」


「それだけなん?」

「なんだよシゲ。さっきから煩いぞ。」

「・・・そやかて、うちの大事なタツボン預けるに、足りる男か見ておかな思うてな〜」

ニヒヒと横目で竜也を見ながらからかって言うが、多分本気だ。

それを竜也が眉間に皺を寄せて見返す。…お前だって今は相手いる癖に…。

その時、「シゲさん、始まるって」と隣りから声が掛かると同時にドーンっと頭上で凄い音が響き渡った。

一瞬当たりがぱっと赤く染まって歓声が上がると、次から次へと大華が上って行く。

「すげー綺麗っすねー。」と渋沢と顔を合わせて笑う藤代の姿、シゲ的にはコレが一般のカップル像で…。

実際自分と竜也も似たようなものだったのだが、竜也と亮はちょっと違いうらしい。

…ま、人がどんな付き会いしようと人の勝手だと思うけど。竜也に限っては勝手が違った。

理屈で分かっていてもちょっと気持ちが付いて行かない。

自分らしく無いと思いながら、そんな自分に苛立ちながら。気付けば、

目があっち。

寄り添いながら花火を見るカップル。カップル、カップルの山。

そして手前に2メートル以上は距離を置く他人カップル。

「…げさん。」

「シゲさん。」

袖を引っ張られて視線を戻すと、苦笑いの風祭。

「そんなに見ちゃだめですよ。」

「なんやポチ、お子様は引っ込んどれ!」

とホっぺを引っ張りながら再び隣に視線を戻すと。


!!

居ない。

さっきまで真隣で空を眺めていた竜也の姿がこつ然と消えていた。

竜也も…亮も。

暗がりの人ごみの中、もう見つかるまい。

『なんやあいつら、しけ込みよった!!』

と、思わず口に出てしまった心の叫びに、はっとして振り向くと風と高井にサバ目で見られていた。

「アーなんでも無いわ。」こっちの話や。と笑ってごまかすが、

・・・・・。

これはこれでなんか…むかつくわぁ・・・。

と再びカザの首を肘で締めに掛かるのだった。





「おーちっとこれも持ってて、」

と竜也に二人分のかき氷を持たせると、金網を越えて今は使われて居ない橋の上にポンと降り立つ。

土手から少し離れた古い橋の上。

花火会場を少し下流に下った所にあるその橋は、公道にそって出来た新しい橋に客を奪われ、今は出口と入り口を封鎖され取り壊されるのを待っていた。

同じ様に今度は竜也がフェンスを越えて。

アーチの上に腕を置いて一足先に花火を眺める三上の隣に落ち着く。

さくっとストローで氷をすくう、向こうで同じ色の黄色い花火が上がっていた。

「・・お前の何?」

「レモン。そっちは」

「コーラ。」

は?

「コーラ?」昔からあるけど、誰が食うんだと不思議に思っていたのだが…。

お前だったのか…。

一瞬間をあけた竜也をちらっと三上が振り替える。

「何?」

「いや別に。」

とレモンを口に含んだ竜也にニヤっとしながら無言でカップを差し出す。

「食ってみ?」

「ーー…。」

嫌とは言えず、『ま、別に毒じゃ無いし。』上手いのか?と思いながら素直にすくって口に運ぶ。

ああ、コーラだと思う前に唇が重なっていた。

目を閉じて冷たい口の中に入り込んで来る舌の熱さを味わう。

「美味しい?」

「まあまあ。」

微かに口元を拭う竜也を見ながら、軽い含み笑いを残すと。何事も無かった様に離れてまた花火を見る。

ぱっと咲いて、ドンと鳴っては落ちる。

ぱちぱちと落ちる火の粉が、まじかで見ると星が降る様にも見えた。

隣で黙したままそれを眺める三上の横顔をちらりと伺う。

さくさくと氷をつつく音が花火の合間に響いていた。

ふと視線をそらした時に引き寄せられて、その肩に亮の頭が寄り掛かった。

どきんと胸が熱くなるのを感じる。

伝わる重さや体温や、彼の匂いに…身体が緊張して行く。

何度も身体を重ねた相手だと言うのに。

竜也の鼓動を聞きながら亮が短く笑う。腕にまわし手で更に強く引き寄せた。

「あんた面白れーな。」

ことある節々に飲み込んで来たそのセリフを堪え切れず今日は口に出してみる。言いながらその顔を見上げてみると、

目が会った瞬間かっと赤くなったが、…珍しく怒りはしなかった。

「誉めてるのか?」

「多分ね。」

不服そうな顔をしていたが、亮がくっくと笑いだすと照れて視線をそらしていた。


再び黙る二人。


外でこうして二人きりになるのは久々だった。

「三上。」

「何?」

「隠れて会う意味って…何だ?」

自分も似たような所が有るから、嫌と言うわけじゃ無いけど真意位は一度聞いてみたかった。

「ーー?あんま見せたくねーじゃん。」

「何を?」

「お前のそ−言う顔とか。」

「…」そりゃ今は赤いが。

「クールで生意気な水野君が、実はこんないー子でしたなんて知れたら。やじゃねぇ?」

本当は鍵の付いた箱にしまっておいてもいーんだけどね。

と冗談めかしていいながら、頭を起すと今度竜也を自分の前に抱きかかえて肩口から顔を出す。

「あんたは?」

「え?」

「付き合ってるやつにはいつもこんな従順なの?」

「…そんなつもりはないけど…。」

「ふ〜ん。」と言いながらその頬に軽く唇を寄せる。

そのまま肩口に顔を埋めて行くと、竜也の身体が鋭敏に反応して行くのが手に取る様に判った。

金や緑に光る空が視界の端にぼやけて行った。


大きな声で名を呼ばれるわけじゃ無い。

夕暮れの町で手をつなぎたがったりした誰かさんとも違う独占欲。

見えない鎖で心臓を雁字搦めにされてるような。

それでも今は怖さよりも恍惚が勝っていると思った。逆らう事等出来ない。

「あんた…だから・・だよ。」

胸を這う三上の手を押しとどめる様に自分の手を重ね、途切れる吐息の下そう言った竜也に。

三上が薄く笑う。




「ったくタツボンもタツボンや、あんな冷血漢のどこがええんや!」

「何言ってんだよ佐藤、違うって!」あははと笑う藤代。

「三上先輩はべったり系なんだって。べったり系。ねーキャプテンv」

「…まあ、そうだったか?…」

苦笑いの渋沢。

「所でどこいちゃったんスかね、あの2人。」

「まあ、子供じゃ無いんだし。先に帰ってよう…。」

イライラしているシゲを見ながら、何も起きない内にとあれこれ気をまわす渋沢に風祭が無言で『すいません。』と謝っていた。




「だから裏切られたと思うと、三上先輩マジ怖くなるからさー。」

カザを見ながら最後に藤代が小声で言った。

それだけは水野も気を付けた方がいいって…。


小さい頃、自分の家の猫ミイラにしたって話…聞いた事あんだよね…。










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コレは8888getトモトモ様へv
お待たせ致しました。ありがとうございます!!
リクは甘々と言う事だったのですが。甘く、甘く書いたつもりなのですが…
何かが違ってしまいました。(−−;)と言うか黒いっ(泣)すいません××
こんなになってしまいましたが、良かったら貰ってやって下さい;;
(ホントごめんなさい、なんだったら埋め合わせを何処かでさせて頂きますので…)

たまには謝らずにきちんとしたきりリクが書きたい物です(切実)


そして浴衣を着せた意味が無かった・・・。
















































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