*チェンジ*
------------------8200get様--------------------








教室を出ると見なれた顔が一人、校庭を見ながら廊下を歩いて居た。

「水野くーん!」

「ああ、風祭。」

「今帰り。」

「ああ。」

部活も無くなって、今はトレセンだけ。

「もうすぐ卒業だね。何か信じられないけど…」

「そうだな。」

つい「色々あったね。」と言いそうになってセリフを飲む風祭。

あわてて水野の顔を見るが、彼は窓の外の色付き始めた落葉樹を眺めて居た。

「どうかしたのか?」

「…うん、水野君推薦?それとも一般?」

「一応推薦から受けるつもりだけど。」

「そっか…俺は一般かな…」

「基準は満たしてるんだろ?」

「ぎりぎりね…」

「…そうか?」

そのセリフに苦笑いする風の後ろから「お前だったら大丈夫じゃねーの?やべーのは俺だっつーの。」

と声がして二人の後ろからずしっと重みが掛かる。

「高井くん!」

「よっー!」と、そして両端の肩を組みながら竜也の方を向く。

「で?一個くらいは思い出したか?。」

「・・・いや。」

渋〜い顔で苦笑いの水野。

溜め息と共に「そっか〜。ま、ゆっくりいこーぜ。」と言うと背中をぽんぽんと叩いて離れて行った。

他の奴ならともかく遠慮ない物言いも高井が言うと嫌味にはならなかった。


「けどホンマ、落ちて来た箱に頭ぶつけて記憶無くすなんてタツボンらしいっちゅうーかなんつーか。」

タンスの上から落ちて来た梅干しの…箱。

「し、しげさん。」

そう言って横から顔を出した金髪の少年の顔を竜也が眉を顰めながら見る。

「・・・・・。」こいつがサッカー部だったなんて本当なのか?

数日前、風祭に紹介された元サッカー部員の1人で、Jrユースでも有名だと言うこいつは。

どーしてもこのちゃらちゃらした外見が竜也のカンに触って仕方が無かった。

「よお。相変わらず美人なんやけどなー。」

何も覚えてへんなんてせちがらいやっちゃな〜。

「シゲさん!」

何かと言うとここの所竜也に突っかかるシゲに風も溜め息だった。

「佐藤?だったか?」

「藤村や。いっ!」

むぎっと足を踏みながら「どっちだっていーじゃ無いですか。」と笑顔をむける。

「よかないわ!何すんねんっ。このワンコロわ!」

「〜〜〜〜〜〜〜!!」

いけない、僕が怒ったら話にならない。けども〜〜〜〜!!

「…藤村、お前その髪染めた方がいいんじゃないのか?」

「はあ〜?そんなん人の勝手…あっこら!どこいくねん・…。」

一言言うと、側にいたく無いと言う仕草を残してさっさと通り過ぎて行く竜也。

その背中に直もつっかかるシゲを後ろからカザが引っ張る。

「・・・・シゲさん。」

--そうか貴方もかまって欲しくて必死なんだね。

でも何か。水野君よりも、シゲさんがシゲさんじゃ無くなったよ…。

ああ、もう!


まあ、仕方がないかもしれないけど。

二人は付き合ってたんだし。僕らの知らない思い出とかきっと沢山あって、

しかももうそれが取り戻せないってなったら…そりゃ落ち込むよな。

『自分から、昔の彼氏です。』なんて今の水野君には言えないだろうし。ただのチームメートに納められてしまうのは、…残酷だ。


シゲさんはまだ水野君の事好きだったんだな…。

普段の彼だったら、これを期にもういっぺん近ずいていきそうな気もしたんだが。

それをしないで…イライラしながら耐えてるって言うのは…偉いんだけど。


だからって余計に嫌われなくても…と思う風祭だった。




そして、彼の知る限りもっと深刻な人がもう一人居た。

三上先輩。

どーしてどーなってあの二人がくっ付いたのかは、将にも見当が付かない。

だが確かに付き合っていたのは知っているのだ。

しかし。

渋沢先輩達に連れられて渋々見舞いに来た三上先輩を見るなり、怪訝な顔で先輩を見回してから小声ではあったが一言。


「この人が?」
「冗談だろ。」

竜也は初対面の人間に対して遠慮も無くそう言ったのだった。


「ああん!!?」
「お、かえっぞ渋沢。」


渋沢さんや藤代君には平気だったのに。どうして三上先輩だけダメだったのだろうか…。

…本能?

いや、それにしたって水野君ってあそこまで遠慮なしな性格じゃなかったは…少しはあったけど。

変わって以来とことん辛辣になった気がする。

素直じゃ無いって言うか。理想主義?って言うか上昇主義?

三上先輩がダメで渋沢先輩はいいなんて…

なんか…桐原監督みたい…。

水野君がずっとこのままだったら…。なんて思うと正直、先が思いやられた。






「キャープテン!」

「ああ、藤代…。」

「三上先輩、以外と普通っすねー。」

中等部と高等部の境になっている緑のボンネットからひょっこりと顔を出す、見なれた頭。

遠くグランド上にはごく普通にびびる根岸に肩を組んでからかう三上の姿。

「…そうだな。」

「これってやっぱ失恋したって事になるんすかね?」

「さあ、けど水野は元に戻る可能性のが高いそうだから…あんまり心配は」

「戻らなかったら?」

「…なる・・かもな、」

上目ずかいに見上げて来る藤代に、小声で返す。

「梅干しねえ〜?」

眉を傾げながらそう言ってボールを頭の上で転がす藤代と…渋沢も三上を見ていた。


部屋をあければ、一転。トドと化した三上が床の上に転がる。

「三上。」

「あんだよ、」

「これじゃ足の踏み場がないだろう。」

「うっさい。今疲れてんの。」

「…今度の日曜空いてるか?」

片ひじをつきながらちらっと渋沢を見る三上、が…。

「あいてねー」

着替える手を一瞬止めた渋沢が三上の方に向き直る。

「でかけるのか?」

「そー。」

「そうか…じゃあ頼みたい事があるんだが。」

「なんだよ?」





帰り際、呼び止められて手をとめる。

「水野君。」

「どうした風祭?」

「うん。ちょっとこのノート借りてもいい?今日急ぐんだ…」

「…あー…。」

期末はこの週明けから。

もう部活の為の赤点の心配は無かったが、受験生という別の重しがのしかかって居た。

ごめんと手をあわせる風祭に。

「分かった。いいぜ。」

「ありがと!じゃあ明日必ず返しに行くから!!」

「じゃあね−!」

「あっ…て何時頃・・だ?」

そう言った時は既に手を上げながら、風祭の姿はドアの向こうに消えていた。

「・・・・。」

明日ね。



「たっちゃん、お友達よー!」

下から聞こえて来た真里子の声に机に向かっていた竜也が少々焦る。

こんなに早く?時計は朝の9時を少々回った所だ。

「ちょっと待ってもらって。」

内線でそう告げると軽く分け目を整えて、せめて寝巻きのままだった下を履き替えてから階段へと出る。

しかし、風祭だと思って降りて行ったそこには。

あれは…三上。

「何か。」

降りて来るなり顔を曇らせた竜也を見て、亮は無言になる。

「これ、渋沢から頼まれて来たあんたのCD」

「ああ、どうも。」

差し出されたCDを受け取るが三上の手が離れない。

「・・・・。まだ何か?」

「ちっといい?」

顎で出ろよと言われ、真里子が見て無い事を確認するとそっと出て行く。




家から少し離れた公園。2人でよく話してた場所だ。

「・・お前何でそんな隠すの?」

くると思った質問だった。

「やだから。」

「何が?」

「何でも。」

「俺が?」

「そーじゃなくて。」

「じゃ何が?他に何があんの?」


気不味い沈黙。


「あんた今俺の事どー思ってんの?」

「…別に。前と変わらないんじゃ無いか?。」

「何それ、覚えてもねーくせに。」

フンと鼻で笑われて竜也が怒ったような顔で三上を見る。が

かえって非難めいた視線で見返されてしまう。

このベンチで、別れそうになる度に何度もこんな時間を過ごした事も…今の竜也は覚えていない。


「じゃあ何でまだ付き合ってんの?」

「別に別れる事ないだろ。」

「何それ?同情?」

「違うっ!」

「じゃなんで?」

「…別に嫌って訳じゃ無いから。」

…!?

「何?…も一回言って?」

見れば、真面目な顔でそう言いながら絶対笑いを堪えてそうな三上の顔。

あの台詞を言わせる気だと思いつつ。

ぷいっと顔をそらしながら言い淀む竜也。

三上の真直ぐ射ぬく(もちろんわざと)視線に自然と頬が染まる。

「じゃあ、これも平気?」

クスっと笑う声と一緒に腕を引かれ重なる…

その時落ちて来たのは3メートルの物干し竿。

ゴンっ

と言う鈍い音が辺りに響いて。

意識の端で自分を呼ぶあいつの声が聞こえた。


「まあ、良かったと言えば、よかったんだろうが…。」

「良かったじゃないすか先輩!危うく三上桐は…っ痛。何するんすか三上先輩!!。」

「藤代…」

再び病院のベットの上で母から質問攻めにあっている竜也を見ながら溜め息の渋沢。

「たっちゃん良かったわねー!!…うん。でも、お母さんの年ちょっと違うわ。」

「…や、そんなはず無いから。」

「そう、まだ混濁してる部分もあるかもしれないけど…」

「…だとしてもそれははっきりしてるから。母さん…。」

「そんなことないわよvvや〜だタッちゃんたら。お父さんの年は間違え無かったのに…酷いわ。」


「まー見た目が若いからいいんじゃないすかね…。」

側に行こうにも、さっきから戸口でうろつく気の弱い看護婦同様。真里子に引いて踏み込めない3人だった。



「なんだーじゃあー別れて無かったんすか。」

「まーなー。」

「・・・よく別れなかったっすね。」

「ああ?」睨む三上に真面目に返す藤代。

「だって中身桐原監督だったんでしょ?」

あまりの怖さにぞっと思わず鳥肌の三上。

「おいっ、渋沢!テメーこいつに何教えてんだ!!?」

「えっ…いや三上。お前…知らなかったのか?」

「は?」

顔を見合わせる渋沢と藤代。

お前ら病院行っとけよ。と言いかけながら。…思い返る様々な場面に三上が氷って行く。

そーいえばここ1週間。都合良く監督は出張だった。偶然だろうか…。

一拍おいて。

「じょ、じょーだんっすよ。三上先輩。やだな〜。」

と肩を組んで来る藤代を跳ねのけようとはしない。

「お前それ誰に聞いた。」

「いや誰って…」渋沢を見る2人。

「・・・・監督に。」

「どんな顔の?」

「・・・・。若い…方かな…」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

「早まるなっ!三上っ。」「三上先輩!」

「明星にだけは転校しないでくださいよっーーー!!!」

「こらっ藤代。」

超人事の二人をほっぽりだして、何処へ行ばいいかなんて解らないのに兎に角耐え切れず走って行く三上を見ながら。

「先輩、不味かったすかねー」

「いや、知らないよりはマシただろう…」と



次の日。

「よーたつぼん。おはよーさん。」

「ああ、シゲ。!?」

ぽんと背中を叩いて来たシゲの顔を見て竜也が止まる。

「どーしたんだ?その頭。」

「何や、染めろゆーたのはあんたや無いか。…まそれだけやないけど、冬やし。イメチェンや。」

似合う?と笑うシゲに。

「う〜ん。まあいいんじゃないか?」と苦笑いの竜也。

!?…「もしかしてタツボンもどったんか?」

「…ああ」もっと苦笑い。

「ほなよかったわーー!!一時はどーしよ思うてな。あんなコンクリ人間じゃこの先付き合っていけるか…あ。」

怒るか?と竜也を見るが、

「そんなに酷かったのか?」

と俯いて聞いただけだった。

「酷かったでー。まるっきしお父んそっくりで。やっぱ環境によって性格変わるってホンマやな〜。」

それにはもう何も答えない竜也だった。



数日遅れて、出張先で階段から落ちて検査入院していた桐原監督が武蔵森へ帰って来た。

「三上。」

「はい。」

しかし目をあわせない二人。

「この加算まとめておいてくれ。」

「はい解りました。」

「…三上。」

「はい。」

「水野竜也とはどー言う関係なんだ?」

「友達です。」

「・・・・。そうか。」

相手にばれていないと思っている手前何も言えない桐原と。

あくまでしらを切り通す2人の、その微妙なやり取りを冷や汗で見守る渋沢だった。



「キス…したのか?」

「してねーつってんだろ。」

「別れてくれた方がマシだった!」

「はあ?」なんだとっ!?

「親父とつきあうなんて…」

「つきあってねーっ!つきあうとか言いうんじゃねぇーーーー!!!!」

頭を抱える竜也と発狂する三上。

息子の人間関係にヒビが入らない様に(あれでも)余計な気を使ってくれた桐原の努力は裏目に出てしまうのだった。






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これは8200getのチャラ様へ★
すみませんこれはオーダーで作った物では無く、普段のノベルをこっちに当ててしまいました。
またこんな異色な物を…この前のも納得行ってた訳じゃないんですが(−−;)。
チャラさん今日はv迷惑なんてとんでもないです。むしろ拾い神さんです。ありがとうございます!!
あんなモノに感想頂いてしまって卒倒でした。嬉しくて。申し訳なくて。
メル、とても嬉しかったです!!!すぐお返事書くので、よかったらまたお話ししましょうね〜vv




















































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