□■ゲーム
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「俺、あんたの事好きなんだよね…。」


そう告った時のあいつの顔を覚えている。

今の今まで人の横で不機嫌丸出しだった癖に、弾かれた様にこっちを振り向いて、俺の横顔をじっと見て居た。

「付き合ってくんねー?」

その視線を感じながら、口元に薄く浮かべて居た笑みを消すと俺はゆっくり奴へと振り向いた。

暫く俺を見つめて居た視線がふいに俯いて、

「…いいけど…。」

と一言言った。

「じゃ、よろしく。」

前で喋っている渋沢や藤代の後ろで、静かにかわされた密約。


『嘘だよばーーか』


俺は心の中で笑いをこらえながら、その手を軽く握った。







「三上先輩、何やってるんですか?」

「はあ?」

隣に座った笠井にテーブルの下で膝をぶたれる。

「ってーな。」

初めは一緒に面白がってた癖に、最近は大分御立腹だ。

まあ、無理も無い。俺だってまさかこんなに長く続いちまうとは思って無かった。

「早く別れて下さいよ。」

「るせーな、わ−ってるよ。何お前?ジェラシー?」

おーこわ。

冗談にはならないと言う顔で睨まれる。

けど何か最近、あいつがマジになって来て切り出せないでいたのは事実だ。

「まさか、このまま…ってつもりじゃ無いでしょうね…」

「んなわけねーだろ。冗談でも無理だから。」

と言いつつ、強くは言えない。

桐監へのあてつけのつもりだった。

本当にただそれだけ。

趣味じゃねーし。タイプじゃねーし。ムカツク以外特に何にも感じねーよーな奴。


大体さぁ。ろくに話した事も無い癖に、あえば嫌味しか言わなかった俺が、

なんでおめーの事なんて好きになると思ってんだよ。

バカじゃねーの?

コレっぽちもうたがわねー方がどーかしてるぜ。

そんなご丁寧な態度を取ってるつもりは無かった。

その内気付くだろうと思いつつ気付けばずるずる3ヶ月。

俺は、あいつが扱いに耐え切れなくなって、自分から言い出すのをまって居た。

「騙される方が悪りぃーんだよ。」

あのセリフが言いたくて。お前の顔を何度想像した事か。


「それって、立て前に聞こえるんですけど…。」

すっかり目の座った笠井の視線が痛い。

「っるせーな。ゲームに勝つって事は忍耐に勝つって事何だよ。」


けど、そろそろ潮時か。膨れっ面の隣をちらっと見ながら思う。


実際の所。

本当に別にあいつが好きなわけじゃ無かった。

ま、嫌いじゃ無くなったとは言えるかもしんねーけど。

噛む犬なつかした時の快感って言うか、せっかくなついたペット手放すのが惜しくなった。多分それだけの事。



今日は、あいつが嫌がるのを知ってて、わざと森の近くへ呼び出す。

「三上…。」

「おう。」

時間通りに駆けて来る俺のワンコ。もとい水野竜也。

計った通り、この時間高等部への連絡路を通る桐監が俺達を見つけて顔が強張る。

それに気付いた水野も、止まっていた。

隣で含み笑い。

「どーした?」

「…いや、なんでもない。」

人気が無くなったのを確認して、慰める様にその肩を抱き寄せても…

逆らわない身体。

ニヤニヤと見下ろすと、俺の顔を見てから微かに赤くなってそっぽをむいた。

まだこいつに手を出した事は無い。そんな計画は立てて無かったから。

ここまで上手く事が運んだのも奇跡に近かったわけだし。

何せ…本当に付き合うとは思って無かったから。

何よりの誤算は、こいつが俺を好きだったって事だった。


腕の中に寄せたまま、初秋の風になびく髪に顔をうめる。

ピリピリしてると思ったら意外におっとりしている事が判明…。

こいつといる時は、何故か沈黙が続いても苦にならない。



最後くらいは抱いてやっかな…。思っていた。











「なータツボン、いつまでこんな事つづける気や?」

「何がだ?」

「だから、あいつ。あのタレ目。俺へのあてつけのつもり何やろ?」

「別に」

「だーかーら、翼とはもうやらへん言ーとるやろ!はよ別れ、もう見てられんわ。」

と日誌をつける竜也の前に座ると、机にうっぷしてごねる佐藤。

「・・・・。」

竜也の腕が止まる。

「絶対?」

「おうっ、誓うで!!」

「・・・・・。」


三上とは…そりゃ本気じゃ無かった。

むしろ初めは「冗談だろ」と思いつつ。

思いながら貰った指輪はしっかり左の薬指。

「タツボンそーいう趣味違ったやろ。きしょいわっ!」

本当に汚いものでも見る様にそれを見るシゲに。竜也は「・・・・。」

「煩いな、俺の勝手だろ。」

シゲでも無いのに男の癖に指輪なんて、それも男同士で。

確かに自分の趣味では無かったが。

何と言うかこう、それは。

「つなぎ」で付き合ってしまった罪悪感の現れみたいなものだった。

ちょうどシゲの度重なる浮気癖に切れてる時に告られて…。

普段の竜也じゃちょっと考えられないような理由で付き合ってしまった三上。


しかも付き合ってみると意外に優しかったり。

甘え上手だし。独占欲強いし。(好きらしい)シゲみたいなワガママ言わないし。

エロい事しないし。(そりゃ隠してるからね)

気付けばここまでズルズルと竜也にも信じられない快挙を成し遂げてしまって居たのだった。

意外にも大事にされてるのを感じていたから…

ここでポイっとするのは、どう考えても…

考えなくても…最低人間。

思い当たった言葉に、思わず沈む竜也。

まさか俺が…。何で俺が…。

正統派で通して来たこの自分が…。

元はと言えばシゲの浮気が原因なんだから…恋の力は恐ろしい。


じゃあ、何で三上と付き合ってるんだ…俺。


救いはまだ…何もしてないって事位か…。

でも、なんで・・・やらないんだ?あいつ…。

それともそれが普通なのか?

ちらっとシゲを見る。

確かにサンプルがコレだけじゃ判るはずも無かったが。

さっきまでごねていたシゲは、今は竜也に来たラブレターを勝手に開けて「なかなかおもろい子やん。この子どこの子?」…1人堪能していた。

「・・・・。」






「今日さ、部屋こねぇー?」

マックを出たところで誘われて、

来たか…と言う感じ。

「ああ、いいけど。」

そういってぎこちない間合いで顔をそらした竜也を三上がちらっと見る。

緊張してるのか、強張った横顔で前を見ていた。

ふっと笑った三上の気配。背中をポンと叩かれる。

戸を開けるとそこは、何も無いフローリングの板の間。

てっきり実家か森の寮だと思っていたら。連れて行かれたのはまだ新しいアパートメントの一室だった。

「家の叔父さんが大家でさ。進学祝にここの鍵貰った訳。」

「何で?」

普通に沸いた疑問を口に出した竜也を亮が「は?」っと言う顔で見て…

「さあ、しんねー。」と小馬鹿にしたような口調で笑った。

・・・・俺だってそこまでバカじゃないさ。と内心思いながら顔には出さず。つかつかと上がって行く三上の後を渋々追った。

備え付けの冷蔵庫と、クーラー。それから部屋の隅に寄せられた簡易様のパイプベット。

もしかしなくても…。

連れ込み部屋だ。「高校生にこんな…どーいう叔父さんなんだ。」と思いかけ。

ああ、そうか、寮だから1人になれる様にって事なのか?じゃあ…やっぱりこの部屋をこ−したのは三上自身?

それで俺がここに連れて来られたって事は?

…少なくても本命扱いじゃ無いって事くらいは竜也にも判かった。


冷蔵庫からジュースを出して飲みながら、何やら考え込み始めてしまった竜也を見る。


「すわったら?」

話し掛けられてはっとした様に三上に視線を戻すと、彼と向き合う様に腰を落とした。


「ここ、よく来るのか?」

「たまにね。」

「女と?」

「…何がいいてーの?」

床の上に足を伸ばし、核心を付こうと言うわりには何の緊張感もない三上の様子。

今まで自分が知っていた「三上との関係」が一気に崩されて行く様で。堅い表情で三上を見すえる竜也の表情がどんどん険しいものになって行く。

「…気付いた?」

頃会いを見て亮が口を開く。

「ああ。」

「じゃ、ヤっても良い?」

三上にとってもそれはカケだった。ここで竜也が激昂して立ち去るか、それは嫌だといいつつ俯くか。

「いいけど。」

顔をあげると冷たい顔の竜也が居た。

「けど、これからもう2度と俺に触るな。」

「…いいぜ。」

張り詰めると言うより、冷えて行く空気。

余りにも自分の思い通りに進み過ぎて、返って腹に寒さも感じつつ。

目をそらしたままそれ以上動かない竜也の肩に触れると、背中にまわした腕でゆっくりと床へと組敷いた。



どこからどこまでが嘘だったと言うのか、せめてそれだけは知りたかった。

呆然と視界に写る天上を見ながら考える。

「つっ…」

鎖骨に歯を立てた三上の頭を抑えた時に目に入る左手のシルバー。

バチかな…。

俺は…コレで良いのか?

またシゲと元に戻って、何事も無く終わって…。

それじゃあどうしてこいつと…


寝るんだろ。


『好きだったのかもしれない。』

今はとても言えそうに無い言葉だったけど。





「やめた。」

シャツのボタンに手をかけて居た三上がそう言って急に身を起す。

「?」

それから床の上に寝そべる竜也の手を引いて起させた。

ぐいっと引っ張られて首をカクンとさせながら床に手をを付いて何とか起き上がる。

「何?」

目尻にたまって居た涙を急いで拭うと、怪訝な顔で三上を見上げる。

帳の降りかけた部屋は既に薄暗い水色に照らされていた。

竜也の前に膝達になったまま黙って竜也を見る亮…。

様子が変と言えば、変。


「三上?」


やっぱ。

「何?」


「やっぱ、こっちにしとくわ。」

再び肩を掴まれて、言い終わらない内に吐息が絡む。

「っ……ん…」

頭の後ろにまわされた手の平で強く引き寄せられて、深く重ねると。

角度をかえる度に映画みたいな濡れた音が耳につく。

息をつきながら離れると、そのまま肩口に引き寄せられて顔をうめる。

項を撫でる三上の手が暖かかった。



お互い何も喋らないまま、暫くそうしてから、三上の気配がすっと離れて行く。

部屋は暗くて互いの顔も見えなかったけど、

濡れて居た目尻を拭われる。

その手が離れ際にもう一度、竜也を抱き寄せると、


「…おめーの勝ちだよ。」微かにそう呟いていった。




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えーコレは性懲りも無く;10000getコロ助様へvv
最後の(?)キリリクだと言うのに、大変遅くなってしまってすいませんでした;;。
リクは「プラトニックな三水」だったのですが、「密会」の裏話ぽくなってしまいました(__;)
そしてどこがプラトニックだ?と言う感じだし(号泣)
しかも意味不明箇所炸裂で…照らし合わせていただけると少しは読み易くなる?かな…と思いますが…
やっぱりたまにはイラストにしておけば良かったと思いました。おまかせだったので、ノベルを選んだのは私です。

…すいません;。
あまりに遅くなり過ぎてしまいましたが(−−;)、リクありがとうございました!!






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